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改善し続けた基盤の上にこそ真の業務改革が実現する

~リコーの競争力を支えるBPR活動から~


複写機やファクスなど、画像系OA機器メーカーとして盤石のブランド力を誇る、株式会社リコー。 ITの進展に応じて自社の業務改革を推し進め、その経験に基づくソリューションを提供するベンダーとしても着実な進化を遂げつつある。これらのIT戦略を統括し、現在は後進への提言も行う同社副社長の遠藤紘一氏に、業務改革におけるIT活用の秘訣について伺った。  

地道な業務改善とITの有効利用その繰り返しが会社の地力を高める

株式会社リコー 取締役副社長執行役員 CSO兼全社構造改革担当 遠藤 紘一氏
株式会社リコー 取締役副社長執行役員 CSO兼全社構造改革担当 遠藤 紘一氏

―近年、厳しい経済環境を反映し、業務効率化やコスト削減といったIT化に対する関心が高まっています。リコーのCIOとしてIT戦略を牽引してこられたご経験から、昨今のIT投資に対する企業の評価や取り組みについて、どのようにご覧になっていますか。

 企業がITを導入する目的の1つが「業務改革」ですが、業務を知らずにITさえ導入すれば、成果が出ると幻想を抱く経営者が多すぎるように感じますね。その反面、すぐに結果が出ないとITに対して「なますを吹く」ような感情を抱くようになるようです。

 言いかえれば、業務を知らないだけでなく、ITのこともよく分かっていません。分からないまま崇め、恐れているだけのように感じられます。

 私は業務側の人間としてCIOになりました。ITと業務の両方に精通していることが理想的ですが、一人格ではなかなか難しいので、部下であるITのエキスパートとの連携を密に取り、お互いの視点や情報を共有し、信頼関係を築いていきました。

 世間ではIT出身者がCIOを担うことが多いようですが、私は業務があって次にITがあると考えています。

 つまり、IT導入を成功させるためには、まずは先にBPR (business process re-engineering)を行うことが欠かせません。

 多くの場合、業績悪化がそのトリガーとなるチャンスの時期です。

 リコーも同様に1991年の業績悪化が起点となっています。その際には、調達業務改善や販売情報の共有など様々な取り組みが開始されましたが、業績が回復した後も完了することなく、引き続き継続して行われています。

 このように自らのBPRのPDCAサイクルを浸透させ、地道に成果を積み上げてきたからこそ、今に至る優位性を得たといっても過言ではないでしょう。

 そもそも、現在のような厳しい経済環境の中で、業績不振に陥って初めて「ドラスティックな改革を」などと提言しても、余力などありません。

 常に周囲の経済環境に左右されることなく自らの業務を見つめ、コツコツと改善を重ねていく。それが一定量積み上がったところでITによる効率向上を効かせるという、その地道な繰り返しが大切だと考えています。
 

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全体を俯瞰した設計と効果検証で経営層を納得させる努力を

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ITイニシアティブ編集部(ITイニシアティブヘンシュウブ)

経営・ビジネス・ITをつなぐ実践情報誌「IT Initiative」編集部  

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