徹底的な透明性

「市民を信頼すればするほど、市民もそれに答えようとします。市民への信頼は戻ってくるのです。もしトップダウンの強制力、たとえば都市のロックダウンや仕事をやめさせることだけなら、人々はますます信頼を失っていきます。徹底的な透明性が必要です」
透明性は、外部からの意見や批判に対しても同じだ。サービスのリリース後は否定的な意見も寄せられたが、すぐに改善に結びつけた。
「台湾にはたくさんの原住民の土着の言葉を話す人々がいます。中国語や日本語を母国語としない人々や、視覚や聴覚に困難を持つ人たちのために、LINEの音声アシスタントによって140以上のアプリケーションをシビックエンジニアたちは作り上げました」
パンデミックのような危機的な状況の中で、デジタルツールは重要な役割を果たす。タン氏は、日本から生まれたメッセージングアプリであるLINEを評価する。LINEは、東日本大震災をきっかけに「大切な人との連絡できることの必要性」から2011年の6月に生まれたサービスだ。
「2011年の日本の東日本大震災のことを覚えています。大変な危機的状況の中で、台湾でも私の友人の多くは日本に支援を送っていました。インスタントメッセージがその状況の中で非常に役に立ったのです。その後、LINEが生まれ、台湾でも最も有名なコミュニケーションツールとなりました。今回のコロナのパンデミックの中で、人々が隔離された状況でも、LINEのグループでのコミュニケーションが精神的な健康をもたらしてくれていました。診療士や心理カウンセラーたちとのつながりで孤独感や精神的な危機を乗り越えられた人も多かったのです」
「イノベーションはいつもどおりの生活やビジネスを破壊的に変化させると同時に、ニューノーマルを生み出しました。今おこなっているようなWeb会議やチャットボット、医療や介護関係者がより安全な方法で働けるようになるためのテクノロジーが求められています。いずれワクチンが開発され、今のようなCovid-19のハイプが終わった後も、ニューノーマルのためのイノベーションが生まれるでしょう」