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エストニアと沖縄 、「地域のDX」が生む新たなエコノミー

edited by Operation Online   2020/12/04 08:00

地域からのDX

福島:DXの考え方自体は以前からありました。実際のビジネス、課題解決に戦略的にITを組み込んでいくという考え方です。今叫ばれているのは、まず日本国内においては人口減少という大きな問題があって、沖縄はまだ人口も増えていて、若者も多いですが、私が住んでいる石川県では、金沢などの都市部を離れると10年、20年後、自分たちが住んでいる街が残っているのかという話になっています。待ったなしの環境で、どう効率よく課題解決を図れるかということに注目が大きくなっています。またSDGsというキーワードで持続可能な社会を構築していくには、デジタルなどのテクノロジーを使って効率よく目標を達成したいということも背景にあります。

 さらに、最近は新型コロナが背景にあって、それでDXを進めていこうと。デジタルは元々、人と非接触つまり、接触しなくても大丈夫なように進歩しているということが根幹にある技術ですのでコロナ禍に適しているという側面もあるかと思います。大事なのは、齋藤さんの話にもあった「課題」ということだと思います。その課題にどう技術を適応するかということです。また使うのは人間なので、人間に寄り添う、人間に由来している、人間のことを考えている扱い方じゃないとダメなのかなと思っています。

稲垣:宮里さんは行政のお立場ですが、沖縄市はエイサーとか芸能文化やFC琉球や琉球ゴールデンキングスのホームグラウンドなどのスポーツ面でも大変盛んな地域です。今回の会場ブースの中で今度完成する大型アリーナをパンフレットで見ましたけどいいですね。沖縄市全体の行政のDX化の取り組みでお話しいただけたらありがたいです。

宮里:沖縄市ではスポーツ合宿の受け入れをしています。観光についてもスポーツの合宿に来られる方、さらには広島東洋カープのキャンプ地が四十年ぐらいの歴史があって、ファンの皆さんがたくさん来られるというところでも大きいものがあります。沖縄アリーナは来年の3月に完成する予定ですので、現状の体育館では3千人ぐらいしか試合が観戦できないのですが、アリーナでは8千人が入場できますので、アウェイのお客様も呼び込みたいと考えています。そうした観光とスポーツをつなぐところで取り組みを考えています。

 DXについてはそれぞれのスポーツ、バスケットならチケットの配布、Jリーグであればスタジアムを5Gとどうつなげるか、ということを追及しています。今後行政として取り組もうとしているのは、窓口での手続きがたくさんあり、また窓口自体もたくさんあります。体育館を使いたい場合、体育館に申請に行く。駐車場は別の部署に行くことになる。予約サイトが準備されていない場合、予約のために紙ベースで毎月1回定例の曜日にとなっているので、こうしたものをデジタル化できれば、市民サービスとしても向上し、競技者の皆さんにもサービスの提供になるかと思います。行政手続きはまだ紙ベース主体で、窓口業務が多いが、できるだけオンライン化して、サービスの価値を上げていくというのが課題だと思います。

稲垣:国としても行政のDX化、いわゆるデジタルガバメント化も進み始めていて、これまでの書面主義、押印主義、対面主義の見直しがこれから進むと思います。いろんな手続きがしやすくなると思いますが、IT化あるいはDX化というのは、企業にとってハードルが高いんじゃないかと思います。特に沖縄の産業、企業は中小企業が大部分、大多数を占めていますので、小さな組織にとってDXはどうすればよいのかということが気になるんですけど。宮里さんご発言いただけますか。

コロナ禍の中での地方のDX課題

宮里:厳しい状況の中ですが、コロナ禍だからこそできる取り組みを準備したいと思います。キャッシュレス化や、観光客や地元の消費者が便利になり、ビジネスになる、儲かる仕組みがちゃんとできることが大事です。DXは重たくて、やらなきゃならないのにコストばかりかかるというイメージではなくて、これを進めることで社員も元気になり、サービスを受ける人たちもハッピーになれる、Win-Winの関係を作れるものであれば進むんじゃないかなと思います。そのために行政も一緒になって取り組みます。必要なものがあれば、国や県に対しても一緒になって提案をしていく仕組みを作るのがよいと思います。

稲垣:小規模ビジネスとDXというテーマではどういう風にお考えですか?

モデレーター:稲垣純一氏 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)理事長
モデレーター:稲垣純一氏 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)理事長

齋藤:小規模の事業者でリソースもお金も情報もない中で、そうした課題というのは自分たちだけでITを実装していくというのはなかなかハードルが高い。それには共通部品となっているプラットフォームを積極的に利用していくのがよいと考えています。私が関わっている加賀市も独自に開発したのではなくて「LoGoフォーム電子申請」というプラットフォームを利用して、現在の形に整えていった。加賀市の場合はそのプラットフォームを利用することで他の自治体への先進ユースケースになっている。プラットフォームを使うことによってDXは進んでいく。そうしたことを皆さん、目の当たりにしているので、共通部品であるプラットフォームを積極的に活用していくという視点は大事なんじゃないかと。

福島:中小企業でDXを進める、IT化を進めるためには、ITは業務のおまけではなく、業務の根幹だということを経営層が理解するというのは非常に大事と思っています。実践していますという会社でも一つのツールとして扱っている。ツールではあるんですが、戦略的に自分の会社の中に組み込んでどう変革できるか考えなきゃいけない。その必要だという思いが経営層にとって重要だと思います。経営者で自分ではITのことがわからない人間だったら、わかる人を立てて、プラットフォームなりを導入してもらって、こういう風にできるんだなと理解してもらう方がよいんじゃないのかなと思っています。

稲垣:観光のDX化についてですが、共通のプラットフォーム、データの流通基盤のようなものを作って、それが中小企業でも上手に使えるようにして、成功事例を公開できればITの活用の信頼性が上がっていくという、よい循環ができてくると思います。もうひとつ実証実験の場として沖縄はふさわしいということがあって、3人の皆さんから、もし自分だったら沖縄でこんな実証実験をやりたいというアイデアを教えてください。

齋藤:MaaSがひとつ。公共交通機関のデジタルIDによる実証実験はやってみたいですね。観光客が非常に多いので宿泊施設の予約やチェックインについても、これも一つひとつの施設がやろうとすると途方もない労力になりますが、プラットフォームを利用した実験を考えています。また県独自のe-Residency制度、行政の電子住民制度を作ってしまうとか観光地ランキングの電子投票など色んな可能性があると思います。

福島:シビックテックジャパンという視点で考えると、まず行政が持っているたくさんの観光資源の情報、データがある。そうしたものをオーブンに利用できる仕組みが大事と思っていて、利用できる仕組みの構築のお手伝いをしたいと思います。たとえば沖縄の魅力ある写真を、オープン・データといわれる誰でも利用できるものもたくさんあれば、ぜひ行政から出していただきたい。また民間の力もお借りして、観光情報やお店の情報をオープンにして、誰でも利用できるようにすることで新しい観光情報サービスを誰もが作りやすくなると思います。

宮里:デジタル通貨を沖縄でできないかと思っています。2年前、琉球大学にいたときに、台湾に行って話をしてきたことがあって、台湾のラインアップした経営者にお会いし、ブロックチェーン担当議員にもお会いしました。その際、沖縄に観光で来られた時に、一切カードを持たずにスマホだけで、デジタル通貨で全部完結できるような仕組みを作りましょうとお話ししたところ、非常に乗り気だったんです。これは私個人のアイデアですけれども、本当にできるといろんな観光地を巡ったときにすべてがキャッシュレス、どころか認証も全部それで済んでしまう。安心、安全な観光を作れるんじゃないかなと思っています。

稲垣:非常に面白いアイデアがたくさんいただけました。本当に貴重なご意見、アドバイスをいただきましてありがとうございました。



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