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「身の丈DX」とノーコードで社会を変える カミナシ諸岡さん カミナシ 諸岡裕人さんインタビュー

edited by Operation Online   2021/04/21 08:00

ノーコードでDXへの歩みが始まった 提供しているのはツールではなく人材育成だ

 その後、食品工場向けの工程管理SaaSを提供するも、経営は次第に沈み込んでいった。意を決して事業転換を決断したのが2019年12月。業界を問わずに現場の共通課題を解決でき、顧客が自ら業務アプリを作れるノーコード開発ツールの提供へと転換した。

 ノーコード開発ツール「カミナシ」は2020年3月にベータ版をリリースし、6月から正式版を提供している。12月にはスタートアップの登竜門となるIVS Launchpadにて優勝することで資金調達にも成功した。

 カミナシはノーコード開発ツールであり、オフィスユーザーではなくモバイル端末を使うノンデスクワーカーを主眼に置いている。普段からパソコンで各種SaaSを使いこなすオフィスユーザーではなく、ノンデスクワーカーが自らの業務をデジタル化するためのパーツでもある。ITの専門家ではないユーザーが使うため、コーディング不要、ドラッグ&ドロップで作れるようにしている。加えて導入から3ヶ月間は現場に伴走する形で使いこなせるように支援もセットで行う。

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 ノンデスクワーカーの現場ではアプリケーション開発ツールはまだ新鮮な存在だ。最初は苦労するものの、コツがつかめてくるとアプリケーションを次々と作れるようになる。正式リリースから約半年でユーザーが作ったアプリケーションは1000を超え、そこからわずか2ヶ月ほどで倍増するほど勢いは加速している。

 あるユーザーは嬉々として「昨日閃きの神さまが下りてきて、殺菌モニタリングを作成しました!」と報告してくれた。自分の力で自分の業務に役立つシステムを作れることがうれしくて仕方ないのだろう。

 諸岡さんは「こういう人材を増やしていけるのがノーコードの良さであり、ぼくたちがやっていることなのだと使命も感じます」と話し、デジタル化の推進役になっている手応えをひしひしと感じている。カミナシが提供しているのはノーコード開発ツールではなく、DX推進人材の育成なのだ。

 今や「DX」という用語は「デジタル化」とほぼ同義になりつつある。しかし諸岡さんは用語についてはあまり頓着していない。それよりもそれぞれの現場がDXに向けてなすべきことを進めていくべきだからだ。まだ紙ベースで仕事を進めているなら、まずはデータを紙(アナログ)からデジタルへと転換する必要がある。データがデジタルでなければデータ分析もAI活用もできやしない。諸岡さんは「身の丈DX」と表現する。それぞれの身の丈に応じ、DXに向けてやるべきことがある。

身の丈DX [クリックして拡大]

 諸岡さんは代表として「ノンデスクワーカー向けノーコード開発ツールでナンバーワンを」と目標を掲げるだけではなく、ノーコード開発ツールでデジタル化の裾野を広げることで「社会を変えたい」と話す。

「今はITを使える環境があるかどうかで、現場の人たちが発揮できる能力が分かれる時代に突入したのです。昭和から変わらぬ環境で仕事をしている人たちにITの下駄を履かせたら、すごい能力が開花します。彼らはITやSaaSに慣れていない分真剣で、質問もクレームも熱意がこもっています。大変ですが、とてもやりがいがあります」(諸岡さん)



著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    EnterpriseZine/Security Online キュレーター フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

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