EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

オラクルのAutonomous Data WarehouseはDB専門家以外にも恩恵

edited by DB Online   2021/05/06 11:00

 データ活用基盤として利用するOracle CloudのDBaaS「Autonomous Data Warehouse」は、2018年4月に市場投入された。その4ヶ月後の2018年8月には、OLTPとレポーティングなどの混合ワークロードに対応する「Autonomous Transaction Processing」も提供開始している。既に3年ほどの期間利用されてきたAutonomous Data Warehouseは、ユーザーからの要望に応え2021年3月には「ビルトインのデータツール」や「Oracle Machine Learning AutoML UI」、「Property Graphのサポート」など多くの機能を追加している。チューニングレスで自律化した運用で、DBA(データベース管理者)の介在を必要としないサービスとして登場したAutonomous Databaseは、現状どのように利用されており今後どのように進化するのだろうか。

クラウド化した大規模データウェアハウス Excelからの脱却にも

 Autonomous Data Warehouseは、人の介在が必要ない自律化した運用管理が最大の特長だ。その上でオートスケールやマルチデータモデルなどの特長もあり、Oracle Cloudのフラグシップサービスの1つと言える。実際、グローバルの直近四半期のビジネスは55%伸びており、国内でもさまざまな企業が利用しており、Autonomous Data Warehouseのビジネスは拡大傾向にある。

 グローバルの事例としては、Uberの競合でもあるライドシェアサービスのLyft、通信事業者のVodafone、保険会社のAonなどが大規模にAutonomous Data Warehouseを利用している。日本での採用傾向としては「IBM NetezzaやTeradataなどで実現していたオンプレミスのデータウェアハウスを、Autonomous Data Warehouseに移行する案件が増えています」と言うのは、日本オラクル テクノロジー事業戦略統括 ビジネス開発推進本部 本部長の佐藤裕之氏だ。

 データベース環境の運用管理になるべく手をかけたくないとの理由から、Autonomous Data WarehouseやAutonomous Transaction Processingを採用する例も多い。たとえば自社データセンターで数千台に上るOracle Databaseを運用しているような企業では、日常的に何らかのハードウェア障害に遭遇しており、その対応に手間と時間を取られている。障害発生すれば都度復旧作業が必要となり、それがIT部門にとっては大きな負担となっている。

 こういった環境をAutonomous Data WarehouseやAutonomous Transaction Processingに移行すれば、ハードウェアを含むデータベースインフラの管理から、IT部門の担当者は解放されることとなる。また専任のDBAを置いていなかったような企業では、運用管理のための外注費削減を目的にAutonomous Data WarehouseやTransaction Processingを選択する例もある。

 運用管理を不要としたことで、オンプレミス版のOracle Databaseではあまりなかった用途も新たに生まれている。Oracle Databaseと言えば大規模でミッションクリティカル用途をイメージしがちだが「Excelからの脱却でAutonomous Data Warehouseを利用する例が意外にあります。手元のExcelで扱っていたデータの量が増え、上手く扱えなくなった。あるいは個人で活用していたExcelのデータを共有する際に、シングルデータソースになるようAutonomous Data Warehouseを利用すると言った例も出てきています」と佐藤氏。

 この場合は、大規模データの効率的な管理ではなく、どちらかと言えば手元のデータをすぐに可視化することが目的であり、それをIT部門などの手を煩わせることなくセルフサービス化したいと考える。そのためにすぐに活用できるデータ・プラットフォームとして、Autonomous Data Warehouseを採用するのだ。このような小規模なデータ活用のニーズにも対応できるのは、Autonomous Data Warehouseが小さく安価に始められるDBaaSであること、その上でOracle製品やクラウドサービスの購入、導入に関する相談窓口であるデジタル営業部隊「Oracle Digital」が、顧客の小規模なニーズにもきめ細かく対応できているためもあるだろうと佐藤氏は言う。


著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

バックナンバー

連載:週刊DBオンライン 谷川耕一

もっと読む

All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5