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イノベーションには「輝かしい失敗」が必要:紺野登/野中郁次郎/ポール・イスケ 第15回 トポス会議:紺野登氏、野中郁次郎氏、ポール・イスケ氏

  2021/06/29 08:00

輝かしい失敗:ポール・イスケ氏

 続いて、FCAJのアライアンスパートナーであるノルウェーのオープンイノベーション組織、Open Innovation Lab of Norwayの代表トゥルース・ベルグ氏からの応援メッセージの後、オランダの「輝かしい失敗研究所」(The Institute of Brilliant Failure)のポール・イスケ氏より、「輝かしい失敗 共に働き、共に失敗し、共に学ぶ」と題するキーノートスピーチが行われた。イスケ氏はマーストリヒト大学のビジネス経済学部でオープンイノベーションベンチャービジネスの教授として教鞭をとる他、「輝ける失敗研究所」の最高失敗責任者でもある。先ごろ、東洋経済新報社より『失敗の殿堂』が紺野登氏の監訳で刊行された。

ポール・ルイ・イスケ(Paul Louis Iske)マーストリヒト大学ビジネス・経済学部教授

 今回、このような素晴らしい会議に参加できることは光栄です。野中先生のたいへん知見に満ちた言葉に触れられ、またノルウェーのベルク氏のあとでお話しできることをうれしく思います。

 私からは今、一番情熱を傾けていることをお話しします。それは「失敗」です。なぜ失敗に情熱を傾けるのか、私の話を聞いていただければ納得できると思います。

 失敗についての私の経験や考えをお話しします。「輝かしい失敗」(Brilliant Failures)です。いまの世の中は予測がつきません。私たちが住んで暮らしているのは“複雑系”の世界です。ここにはいろいろなシステム、目に見える建物や道路、目に見えない社会、経済、ICTのシステムなどが総合的に入り組んで、繋がっているわけです。そして変化が非常に多い世界です。COVID-19もその一つです。

 私たちはそのような複雑でダイナミックな世界の中で、何とか生きていかなければなりません。そこで私たちは計画を立てます。今日のため、来年に向けて、5年後、10年後のプランを立案します。しかし、世の中は突然、変わるかもしれません。オリンピックのことを考えてみてください。10年前、東京が開催地になった時、こんなコロナ禍が起きるとは思っていなかったでしょう。世の中の現実は、このような姿です。これが悪いのかはわかりませんが、これが現実なのです。こうした現実に対応しなくてはなりません。退屈はしません。いろいろなことが体験できて、学ぶことができます。私たりはそこで新しい情報を目にして、新しいパターンを手に入れます。

 もちろん危機も起きます。ただこうした危機に直面した時に最もよい対応の仕方は「Anti Fragility」です。「危機により強くなる」という意味で、この「Anti Fragility」のシンボルがヒドラです。ギリシャ神話に登場する怪物ですが、頭を切り落とすとそこから二つの頭が生えてくるというものです。つまりどんどん強くなっていきます。失敗も同じです。皆さんが何かをして、できなくてがっかりする結果になることがありますが、そこには新しい学びがあります。この学びを生かすことができれば、ヒドラになることができます。「AntiFragility」を手に入れることができるのです。私たちは失敗の本当の意味を理解すべきです。


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