アプリケーション構築をめぐる現状
「アプリケーション構築をめぐる環境は『革命的』な変化の真っ只中にある」。そう語るのは、米Serena Softwareの社長兼CEOのジェレミー・バートン氏だ。Serena Softwareは、全世界14か国、29拠点に750名の従業員を抱えるソフトウェアメーカー。1980年の設立以来、25年以上にわたってソフトウェア構成管理などのアプリケーション・ライフサイクル・マネジメント分野で製品を提供してきた。近年では、業務プロセス管理の領域へ特に注力している。
長年、業界に携わってきた同氏は、機能不全に陥ってしまった開発現場の現状を次のように分析する。「アプリケーションの開発はあまりに複雑化してしまった。IT部門は全ての勤務時間を使ってもなお、企業が求める成果の10%程度しか提供できない状況だ。目まぐるしく変化するビジネス環境に対応するため、利用部門は日々さまざまなシステム化要望を積み上げていく。このような状況にあって、長期間に渡る大規模プロジェクトを立ち上げるスタイルでは間に合わなくなっている」。
企業システム救済の鍵「ビジネス・マッシュアップ」
では、どのように企業システムが抱える問題を解決すればよいのだろうか? ジェレミー氏は現状を打破するためのひとつの鍵として「ビジネス・マッシュアップ」を提案する。
マッシュアップとは、既存のWebサービスを組み合わせて新たなサービスを作り上げる手法のこと。ITやプログラミングに関する専門的な知識が無くても新規アプリケーションを短期間で容易に開発できる点が特徴だ。このメリットをエンタープライズ領域でも活用しようというのがビジネス・マッシュアップである。
「システムを構築するためには無数の方法がある。例えば、あるビジネスプロセスを定義する場合、一般的にはJavaでプログラミングするという手段をとるだろう。しかし、視覚的なツールを使っても同じことは実現できる。また、レガシーシステムの置き換えであれば、有力なWebサービスを使ってスピーディにインテグレートしても良い。シチュエーションに応じて多様なシステムやサービスを組み合わせ、柔軟かつ迅速にシステムを構築する。そういった手法を総称してわれわれはビジネス・マッシュアップと呼んでいる」(ジェレミー氏)。
従来型のオンプレミスな環境だけでは、簡単なシステム変更であっても半年や一年の規模でプロジェクトを立ち上げることになりかねない。たとえ企業がどれだけ効率化を望んでいたとしても、現在の経済環境で多くの時間を取ることは出来ない。Web2.0に代表されるような新しいテクノロジーを取り入れながら、システムをスピーディに進化させていく必要がある。そのような状況において、ビジネス・マッシュアップは有効な解となり得るわけだ。