DXの3段階とデジタルワークフロー
デジタルワークフローはDXにも関係する。そのためDXの成功につなげるためには、段階的に進めることが有効とされる。第1段階は、書類を電子的に置き換える「デジタイゼーション」である。大半の企業がこの段階で足踏みをしているかもしれない。続く第2段階がビジネスプロセスの電子化を行う「デジタライゼーション」である。ビジネスプロセスを見直し、人間とITの役割分担を明確にした上で自動化する。業務を効率化する上でこの第2段階は避けて通れない。最後の第3段階がイノベーティブなビジネスプロセス/ビジネスモデルを創造する、本来の意味での「デジタルトランスフォーメーション」だ。
「第1段階と第2段階の差は非常に大きいと思う」と加藤氏は指摘し、市民開発とDXの関係にも言及しつつ、市民開発のユースケースを紹介した。その1つが、第2段階のデジタライゼーションの中核であるビジネスプロセスの見直しや自動化に焦点を当てるものだ。
また、レガシーマイグレーションもユースケースの1つになる。第1段階で止まったままの企業はレガシーシステムが残っていて、市民開発者がやろうとしている新しいビジネスニーズをうまく取り込めていない。たとえば、既存のワークフローの機能追加に限界を感じている場合や、既存グループウェアの移行を計画している場合がこのユースケースに当てはまる。加えて、DXプロジェクトの見直しも有効なユースケースである。
たとえば、「業務の自動化でRPAにこだわりすぎていなかったか」というような場合だ。単純作業の自動化にRPAは大きく貢献するが、RPAで自動化できるビジネスプロセスは限られる。複雑なビジネスプロセスにRPAを当てはめても、メンテナンスの負担が大きくなるばかりになってしまう。レガシーシステムと同じように、DX推進の阻害要因になりかねない。
このようなユースケースの背景にあるニーズに対して、Now Platformは以下3つの解決策を提示する。
- モバイルやWebのコミュニケーションツールをフロントにデジタルワークフローを構築する
- ERP、SCM、CRMなどの各分野の主要SaaS、AWSやMicrosoft Azure上のアプリケーションを連携するデジタルワークフローを構築する
- すべてのワークフローの基盤に利用する
Now Platformをプラットフォームとして使うメリットは、アプリケーションを改変することなく、ユーザビリティを改善できることだ。この仕組みを利用してグローバル共通の汎用ワークフローを構築したのが富士通である。
同社は、20年以上稼働していた旧決済システムをNow Platformで刷新した。その結果、業務効率化を達成したのみならず、改修や新機能の提供も容易にできるようになったという。今後はこの新決済システムを利用しつつ、より高度な使い方を模索していくと思われる。