人・スキル・マインドセットはどう変えられるか?
「トランスフォーメーション」と呼ぶにせよ「チェンジ」と呼ぶにせよ、我々には常に変化が求められていることに変わりはありません。社会、技術、環境などの世の中が変わっているので、組織も変化しなければいけないのは当然です。私の好きな言葉に、「Leading Change」があります。これは、リーダシップ界では有名なジョン・コッター氏の本の原題(邦題:『企業変革力』 日経BP)です。この本は、どのように変化を促進するかを記載したチェンジマネジメントのバイブルです。これを読んで私は、「どうせ変化が求められているのであれば、それをリードした方よい」ということを学びました。
しかし、人間は、そんなに簡単に変化をリードすることも、変化を受け入れることもできません。心理的に、「楽な方、変化しない方」を選ぶものです。また「どうせ変化しても無駄でしょ」と、心の奥底では思っているものです。つまり、マインドセットの問題です。また、当然ながら、変化の先は新しい世界やステージですので、そこに行ったときの新しいスキルが求められます。
ですから、変化するためには、行動、マインドセットに加えて、スキルが必要になります。わたしがいたある歴史が長い会社では、50代くらいになり定年が近づいてくると、多くの人が波風を立てずに60歳まで働き、その後は再雇用をめざすというのが、最優先になっていました。行動、マインドセット、スキル、すべてが整っていない悪い例です。たぶん、一番まずいのはスキルです。スキルを常に磨いていないと、マインドセットや行動も変えられない。有名大学を卒業して、何十年も同じ仕事をして、結局はその明晰な頭脳が錆びついてしまうというのがよくある例で、もったいない話です。
以下、組織で変化や変革を促進するときに、周りをどう巻き込むかについて書きます。
まずは、組織内で人を変化させる方法です。最初に、変化に巻き込みたい人のマインドセット(モチベーション)やスキルを分析します。
一番良いのは、「モチベーションが高く、スキルの高い人」です。そういう人は、戦略や方向性(なぜそれが組織にとって大事なのか)の共有や、ちょっとしたアドバイスやサジェスチョンで、変化の仲間になれます。でも、全体人数からすると比率は低いですよね。正反対に、モチベーションが低く、スキルの低い人、これは手ごわいです。そういう人は外資では、ボジションがなくなってしまいます。仕事の責任と必要なスキルを明確にして、その達成を支援するしかないと思います。そういう人に対して効果的なのは、パフォーマンス管理です。