2009年7月22日、東京国際フォーラムで「日立 uVALUE コンベンション 2009」が開催された。本稿では、日立製作所 尾花 学氏による講演「ビジネス変化に迅速に対応する高品質な業務実行基盤の実現」の概要をお伝えする。
進化と安定稼動のジレンマ
どんなに完璧を期して作られたシステムであっても、何の変更も加えることなく使い続けられるケースはほとんど無いと言ってよいだろう。新たなビジネスモデルへの対応や業務の効率化など、変更の理由はさまざまだが、これらのニーズに合わせてシステムは常に進化し続けなければならないという点では共通している。
一方で、システムの変更は大変なリスクが伴う作業であることも事実だ。新しい機能を追加するためには、現時点で安定して稼動しているシステムに手を加えなければならない。
「ひとたび、バグの混入やデグレードが発生すれば、それまでよりもサービスレベルが低下することにもなりかねない。そこで、システム担当者は、変更を必要最小限にとどめるよう対応してきた」と、尾花氏は従来の一般的なシステム変更手法について解説する。
ただし、この手法には問題も存在する。まず、既存システムを維持しなければならないため、システムを劇的に変化させることができない。また、システムの進化に伴って、内部のコンポーネント間の連携が複雑化するのもネックだ。影響範囲の特定が難しくなれば、システムの変更に要する時間は徐々に長くなる。いわゆる、システムの硬直化である。これらは、多くのシステム担当者が現時点で抱えている問題とも一致する。