インテルプロセッサーの“本当の能力”を引き出す支援
インテルではクラウドサービスプロバイダー、マネージドサービスプロバイダー、ISV、SIの企業とエコシステムを作り、その協業体制で顧客に最適なITインフラを提供できるようにしている。そして「インテルではIaaS、PaaS、SaaS、顧客の独自アプリケーション、オンプレミス、クラウドのすべての環境をサポートします。各企業とは営業、マーケティング的なものはもちろん、技術的な支援も揃えています」と松田氏。
この技術的な支援には「ワークショップ」「最適化」「自動化とツール支援」という3つのカテゴリーがある。ワークショップではインテルプロセッサーや製品の概要をまず把握してもらい、ソフトウェア戦略についても伝える。内容は、顧客のクラウド化のフェーズや課題に応じカスタマイズしているという。また、顧客がオンプレミスやクラウドで利用しているサーバーやアプリケーションのリストをもとに、それらを定量的に見てどれくらいコスト削減が可能かなどもコンサルティングする。
最適化では、既存のアプリケーションを評価し、リフト、あるいはクラウド化を機にリタイアさせるなども提案する。さらにクラウド化にともなうデータベースの構築および最適化、AI活用環境の最適化、IaaS、PaaS、SaaSの最適な選択の話もできる。IaaSについては、インテルではOSのレベルから最適化が可能だ。PaaSでは「利用する際にどのようなパラメータ設定にすれば最適に動くかを提案できます。さらにどのインスタンスをどの設定で利用すれば、使いたいPaaSが最適化できるかも支援できます」と松田氏は言う。
他にもインテルでは各種ベンチマークを取得しており、その手法も顧客やパートナーと共有する。これは、クラウドにおける性能向上の方向性見極めなどに活用できる。他には最新のアクセラレーター技術や今後プロセッサーに統合化される機能の情報も適宜共有し、コストを最適化のための選択肢を見つけるサポートもする。
自動化とツール支援では、たとえば「Migration Advisor」を提供している。これを使って診断をすることで、モダナイゼーションを含んだクラウド移行のアドバイスが可能となる。Cloud Optimizerでは機械学習技術で統計情報を診断し、コスト効率の高いインスタンスの推奨などができる。Workload Optimizerは買収したGranulate社のツールで、Java、PHP、Python、Go言語などのプログラムのワークロードをモニタリングし、結果を機械学習してワークロードを動的に最適化できる。他にもコンパイラーなど、クラウドを活用するのに欠かせないツールを提供している。
これらの支援には、インテルのIT部門に所属する4,400人のメンバーが、世界中の社員12万人の業務を支え、53ヵ国138拠点の管理も担ってきた経験が生かされているのだという。
「インテルではPCやスマートフォン、ワークステーションなど世界中で25万台のデバイスを管理しており、そこから生まれる膨大なデータをオンプレミス、ハイブリッド、マルチクラウドで効率的に運用しています」と松田氏。これらの仕組みの構築、運用で培った経験を生かし、ノウハウ、情報を適宜共有して、顧客のクラウド活用の支援をしているのだ。
また同社には、約1万9,000人のソフトウェア技術者がいる。その多くはソフトウェア企業のサポートをしており、各社のソフトウェアをインテルプロセッサーに最適化するための支援をしている。さらにオープンソースソフトウェア(OSS)にも貢献しており、Linuxカーネルについては、No.1の企業コントリビューターでもある。他にも50以上のOSSプロジェクトに貢献し、コード開発だけでなくインテルプロセッサーでOSSが最適に使えるよう支援している。
一連の技術的な支援は一部有償のものもあるが、インテルプロセッサーを利用する顧客やパートナーが一定の条件を満たせば、基本的に無償で利用できる。松田氏はこれら様々な支援を通じて「インテルプロセッサーの本当の能力を知ってほしい」と言う。
インテルでは、今後も新しい技術をどんどん投入する。将来的にはWeb3.0のための技術なども出てくるだろう。それらを最大限に使うことで、よりクラウド環境にワークロードを最適化できる。プロセッサー能力を最大限に引き出せれば、CPUのフットプリントを小さくでき、効率化を実現してコスト削減が可能だ。削減した費用は、ぜひDXのための新たな投資に回してほしいと付け加えた。