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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

優れたCIOと単なるマネージャーの差とは何か? ガートナーが語る。

 DXを進めるためには、クラウド化やAI技術の導入、さらにはDevSecOpsやアジャイル開発、内製化など、CIOやIT部門が新たに担うべき事柄が急激に増えている。企業が変革するためにCIOやIT部門は、どのように変化しなければならないのか。今後のCIOのリーダーシップや組織文化のあり方、そしてIT部門の人材育成などについて、ガートナー マネージング・バイスプレジデントのアルバロ・メロ氏に話を聞いた。

CIOはリーダーとして行動し情熱を持って人を育てる

ガートナー マネージング・バイスプレジデント アルバロ・メロ氏

 現状において最も重要な変化としては、CIOがIT部門で開発をするメンバーの感情部分をケアし、人材開発について考えなければならなくなったことだとメロ氏は言う。通常、チームメンバーの感情面や役割を管理するのは、人事部門の仕事と考えるかもしれないが「これはリーダーが考え、担うべき役割でもあります」とメロ氏。

 マネージャーの立場にいるような人は、自分の組織の人材開発に情熱を持たなければならない。しかしながらIT部門のマネージャーの多くは、技術的な問題の解決などに忙しく、仕事時間の大半をそれに費やしている。そのような状況の中にあっても、メンバーに関心を持ち、メンバーがどうすればやる気を出すのかを考える。そのためにはメンバーの話をしっかりと聞く必要がある。その上でリーダーは、メンバーのキャリアを開発し支援したいとの気持ちになる必要がある。

 人は重要な仕事をアサインした人のことは忘れてしまうかもしれないが、自分のキャリア形成において支援してくれた人のことは忘れないものだ。キャリア形成の過程で重要なアドバイスをしてくれたり、何らかキャリア形成につながるようなことを教えてくれたりした人のことは生涯忘れないのだ。これは、組織における管理職の仕事というよりも、リーダーの立場にある人全員に求められる行動とも言える。

 CIOというマネージャー職ではなく、組織における良いリーダーになる。そのためには、技術的に高いスキルを持っているだけではだめだ。実際にはエンタープライズアーキテクチャなどの高い知見とスキルがある、あるいは開発面で多くの実績があるなどの理由でCIOとして採用されているケースは多いだろう。しかしながら「CIOにはリーダーとしてのより良い振る舞いが求められます。そして、それをどのようにメンバーに対し発揮するのか。振る舞いでどうやってメンバーのスキル、キャリアを開発できるかが重要です」とメロ氏は指摘する。

 たとえばIT部門のリーダーの立場にある人が、Pythonの高度な開発スキルがあったとする。その高いスキルを誇り、それで組織を牽引しようとするかもしれない。しかしリーダーに求められるのは、スキルをいかにしてメンバーと共有できるかであり、コーチングによりメンバーのスキルを高められるかだ。高いスキルがあってもそれを共有せず、メンバーとのコラボレーションも十分にしなければ、チーム全体にとって意味をなさないリーダーとなる。つまりテクニカルスキルの高さだけでなく、リーダーとして評価される挙動、行動をとれるかが重要であり、それが求められるのだ。

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生産性、効率性の向上と人材育成は補完関係にある

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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