溝は深く協業にいたるまでにはかなりの時間がかかった
OracleとRed Hatのわだかまりのきっかけは、2006年に米国で開催されたOracle OpenWorldにまで遡る。このイベントのタイミングで、OracleがRed Hat Linuxを独自に低価格でサポートする「Unbreakable Linux 2.0」を発表したのだ。当時のOracleの見解としては、今後Linuxを広く活用するにあたりRed Hatのサポートサービスでは企業のミッションクリティカル用途での要望に応えられないと言うもの。OpenWorldの基調講演で当時のCEO ラリー・エリソン氏が「Red Hatの対応では遅すぎる」と、強く発言したことをよく憶えている。
OracleによるこのUnbreakable Linux 2.0の取り組みは、「Red Hatつぶし」とも言われた。それまで両社はLinuxを市場に広めるパートナー関係にあったが、ここからは急にライバル関係になったわけだ。Oracleではさらに、Linuxのサポートサービスだけでなく、RHELと互換性のあるディストリビューションとして「Oracle Linux」も提供する。さらに2010年にはRed Hat Linuxとの互換性は維持しながら、エンタープライズ向けの修正、拡張を施したUnbreakable Enterprise Kernelも開発し提供する。これにより、さらに両社の距離は離れる。こういった長きにわたるいがみ合いもあり、OCIの上ではRHELの利用をOracleでは正式にサポートしていなかった。