再起動やログ取得はもちろん、消費電力の制御までリモート管理
インフラ管理業務を中心に、IT部門が解決すべき課題は多いたけでなく、DX実現に向けていち早い取り組みが求められている。デル・テクノロジーズ(Dell Technologies)では、インフラ管理業務における諸課題解決に向けて、サーバー国内シェア一位のPowerEdgeサーバーの管理、監視を効率化・自動化するような、多種多様なソリューションを提供している。特にサーバー管理の効率化・自動化に貢献している機能が「iDRAC(アイドラック)」だ。
これは、「Integrated Dell Remote Access Controller」の略称で、遠隔からネットワークを通じてハードウェアの監視や管理を行うための“統合リモートアクセス管理”向けのデバイスとして、すべてのPowerEdgeサーバーに搭載されているという。なお、IPMIやRedfish、 Ansibleといった標準規格にも準拠している。
iDRACを利用することで「サーバー管理を自動化したりリモートから操作したりできるようになります。現在では、運用の自動化や電力使用量の削減、高度なセキュリティの実現のためにさらに進化しています」と言うのは、デル・テクノロジーズ カスタマーソリューションセンター センター長の相場宏二氏だ。たとえば電源のシャットダウンやリブートなどのオペレーションはもちろん、障害の自動通報も可能だという。
さらには、「仮想ディスクの作成もiDRACのGUIで行えます。RAIDレベルを設定し、使用するディスクを選んで追加するだけです。これはOSをブートした状態で実行でき、RAIDディスク完成後はOSにマウントされます」と相場氏。稼働しているOSや仮想マシンの監視、BIOSの設定なども可能で、サーバーにおけるハードウェアのオペレーションは、ほぼすべてiDRACから実現可能だ。たとえば、ディスクの暗号消去を行える。これは米国規格および技術(NIST)仕様に基づき、安全にディスク上のデータを削除できるもので、暗号消去を行ったディスクはデータが完全に破壊されるため、安心して廃棄や転用が可能だという。
また、現在サーバーなどのIT機器は、「性能の向上」と「グリーン化(消費電力・エネルギー・発熱量の低減)」という、二つの相反する要求を満たすことが大きな課題となっている。iDRACによる電源管理では消費電力量に上限を設け、自動制御することもできる。たとえば消費電力を600ワット以下に抑えるように設定すれば、CPUのクロックダウンなどにより設定したワット数に収まるよう運用できる。他にもサーバーの吸排出する空気温度、駆動音の大きさなどに制限を設けることも可能だ。タワー型サーバーなどをオフィス内に設置するような場合には、音量での制御は有効だろう。
さらに、iDRACは性能の管理面に関しても、さまざまな自動制御ができる。たとえば、CPU使用率や電力使用量などに閾値を設定しておけば、閾値を超えた際に管理者にメールで通知することが可能だ。サーバーには、冷却用に数多くのファンが搭載されているが、PowerEdgeサーバーではAIを用いてファンの回転数などを自動制御する「マルチベクタークーリング2.0」が搭載されている。厳しい温度条件で稼働するシステムでも、パフォーマンスへのインパクトは最小限にとどめながら、温度設定のコンプライアンスを維持することが可能だ。「現状ではサーバーを冷やすために総電力量の30%が使われているとも言われます。そのため電力をなるべく使わず、最大限に効率化して冷却する必要があります。それを容易に実現できるのが、iDRACなのです」と相場氏は説明する。
もうひとつのユニークな機能として、「過去3回分のOSブートの様子を、動画で記録できます。クラッシュシーケンスの記録も可能で、OSとの通信が途絶える3分前からコンソール出力を記録しておくことで何が起こったのかを把握する。まさに自動車におけるドライブレコーダーのような機能です」と相場氏。他にもテレメトリストリーミングにより、GPUやFPGAといった様々なコンポーネントのデータを可視化、監視することも可能だ。
増える運用担当者の負荷、解消に向けて「iDRAC」活用を
iDRACはマザーボードに統合されており、基本的にエージェントレスで各種機能が利用できる。加えて、専用LANポートも装備されているため、ネットワークを通じてWebブラウザからアクセス可能だ。iDRACはサーバー本体から独立して機能しており、サーバーにインストールされているOSには依存しない。そのため、メンテナンス時のシャットダウン、障害時のアクセスエラーなどが発生した場合でもネットワーク経由でサーバーの状況をすぐに確認できる。
なお、別途エージェントを入れることで、より高度な機能が利用可能だ。たとえば、サーバーOSがフリーズした場合に、自動でサーバーの再起動が可能だ。もしBIOSやOSに障害があった場合には、セカンダリの領域から起動もできる。さらに仮想コンソール機能で、サーバーのコンソールを遠隔地から操作可能だ。これにより、データセンターに行かずとも、OSのISOファイルをマウントし、インストールをリモートから行うこともできる。「サーバーが置いてある現地に行かずとも、サーバー管理のあらゆることができるようになります」と相場氏は自信を見せる。
実際の障害時には、前述したようにメール通知をはじめとした多様な方法に対応している。
さらに、「SupportAssist(サポートアシスト)」にも対応している。「SupportAssistや、サーバーでパーツの障害などが発生しそうだといった予兆を検知すると、自動的にデル・テクノロジーズのサポートサイトに通知が行われ、サポートからお客様にご連絡を行います。お客様が障害に気がつく前にデルのサポートサイトからお客様に通知するというプロアクティブな対応が可能です」と説明する。
このようにサーバーに搭載されているiDRACを活用することで、容易にサーバーのリモート管理が実現できる。もちろん、何か問題が発生した際にサーバーの目の前に行き、状態を確認し、管理コンソールから作業ができるのであれば問題はないと考えるかもしれない。とはいえ、サーバーのトラブルはいつ起こるのかわからない。そして、運用管理のエンジニアが24時間いつでもすぐにサーバーの前に駆けつけられるとは限らないだろう。
ハイブリッドワークが浸透してきている中、そうした状況が発生したとしてもiDRACを使用することで、リモートからサーバー管理に係るすべての作業が行える。その上で各種便利な機能も豊富に揃っており、安定稼働だけでなく消費電力をコントロールした効率的な自動運用まで実現できる。これまでiDRACを使わずに管理してきたのならば、iDRACに一度触れてみて欲しいと相場氏は言うのだった。