主要顧客に米国海軍、なぜIFSが防衛・航空宇宙産業で高いシェアを誇るのか
防衛産業や航空・宇宙産業において高いシェア率を誇るIFS。その理由についてヘルマー氏は、「ERP、EAM、FSMを標準化して幅広い業界に提供している他社に比べ、IFSは闇雲に対象を広げるのではなく、特定の業界のニーズに特化した機能を設計・開発することを重視しているため」だと説明した。
IFSのソフトウェアは、複雑で厳格な要求にも対応できる構成をカスタマイズすることが可能で、柔軟性に富んだプラットフォームを提供しているとヘルマー氏。同社の防衛・航空宇宙向けソリューションは、民間企業と政府機関の両方に対し提供されている。「他社では、領域や対象の異なる製品を個別に扱う場合が多いが、IFSは両者のシナジーを重視しているため最初からカテゴリ分けをせず、複雑な資産のライフサイクル管理に最適な機能を提供している」と独自性をアピールした。
代表的なユーザーとして挙げられているのが、米国海軍(United States Navy)だ。ヘルマー氏は、「防衛に関する複雑な要件は多くの場合、米国から始まる」と話す。IFSは、米国海軍向けに最適化されたソリューションを提供しており、それを応用して他国の防衛機関にも対応可能な形にしている。各国軍の要件にわずかな違いがあった場合でも、プラットフォームの機能の深さを活かして特定のニーズに適応するのだという。
「IFSの機能は、製造、運用、保守、サポートといった、兵器のライフサイクル全体を支援するように設計されています。このアプローチにより、軍事組織や防衛産業の製造業をはじめ、陸・海・空軍、さらには整備や調達を担うメンテナンス組織など、それぞれの分野に特化した差別化された機能を提供できるのです」(ヘルマー氏)
ヘルマー氏は、これまで世界中の多くの軍事組織が、大手ソフトウェアプロバイダーが提供する標準化されたソリューションを導入し、拡張していこうと試みてきたが、その多くが成功していない点を指摘する。独自のカスタマイズによる対応を行った例もあるというが、それによってプログラムのライフサイクル管理が複雑化してしまい、維持費用の高騰や最新性の欠如を招いてしまったそうだ。結果として、そうした組織では十分なパフォーマンスと成果が得られずにいる。