“働く楽しさ”をそのまま残す白組の工夫
「コロナ禍以降、実に5年ぶりの開催となります。今日はとても楽しみにしてきました」と冒頭に挨拶したのは、チームスピリット 代表取締役 CEO 道下和良氏。道下氏は、2023年11月に創業者の荻島浩司氏から代表取締役 CEOを引き継いでいることから、「ほとんどのお客さまと初めて関わる機会になることもあり、1月から準備をしてきました」と意気込み、乾杯の音頭を取った。
そして参加ユーザー同士の交流時間が設けられた後、チームスピリットを活用している企業事例の紹介として、アクサス、船場、白組の3社によるトークセッションが行われた。
白組からは企画制作本部 Solution Expert 鈴木勝氏がセッションに参加。同社はCMや映画、ゲーム映像、テレビ番組などの映像制作を手掛けており、最近は映画「ゴジラ -1.0」の制作も担当した実績がある。
鈴木氏は「当社の社員は皆、仕事を楽しんでいます。その結果として業務時間が増えてしまいがちです」と話す。一方で、働き方のルールをきちんと守っていかないと作り続けることができなくなってしまうと考え、その本質を伝えながら働き方改革に着手したと語る。とはいえ、ルールに縛られて仕事のモチベーションが低下してしまっては本末転倒だ。そのため、ルールとモチベ―ション維持のバランスをどう取っていくかが課題になったそうだ。
そこで、同社の管理部門は、勤務体系や関連申請フローなどについて説明する「働き方ホームページ」を作成。チームスピリット画面のスクリーンショットを活用し、パッと見ただけでわかるような画面作りを意識したという。また、残業時間はチームスピリットが標準で用意しているダッシュボードのテンプレートを用いて色を分けることで、直感的にわかりやすいよう可視性を高めるなどの工夫を施した。
またSlackとチームスピリットの稟議機能を連携させ、稟議が承認されたらSlackから自動で通知が来るように設定。社員が次のアクションを取りやすい工夫が施されていることが見てとれる。鈴木氏は「管理部門がこうした情報発信を積極的にしてくれるおかげで、管理部門と他部門の社員との距離が縮まっているのではないかと思います」と語った。
「本気で取り組む」船場の“残業文化”変革
続いて、船場で人事本部の本部長を務める佐藤世津子氏が取り組みを発表。内装・建設に関わる事業を展開し、商業施設や飲食店、オフィスなどの空間設計・企画・施工などを行う同社では、業界特有の体質から「残業が当たり前」という文化が根付いてしまっていたという。
2024年4月から建設業の36協定に上限が設けられたことにともない、「まずは残業時間を月45時間以内に収めることを目標にしました」と佐藤氏。2022年にはチームスピリット標準のチャットツール「Chatter」機能を用いてメッセージを発信したという。「本気で改革していくことを全社員に示すために、マイルストーンやマネージャーに伝えたいことを全社員に向けて投稿しました」と振り返る。
その後、全社員がいつでもすぐに最新の勤怠状況を確認できるようにするための工夫を施していった。具体的には、社内イントラネットのトップ画面に、その時点の残業時間が常に表示されるよう設定。ホーム画面には「勤怠関連レポート」に直接遷移できるアイコンを配置したという。「普段自分たちが仕事で使うシステムのアイコンと同じ場所に並べたところが工夫した点」だと佐藤氏は語る。
また「残業メーター」というダッシュボードでは、全社員分の月間の累計残業時間を見れるようになっている。「オープンにすることで、『他部署の〇〇さんが忙しそうだから手伝ってあげよう』といった動きも見られるようになりました」と効果も説明した。
このような取り組みを続けた結果、2019年の月平均残業時間が34時間だったところ、2023年には平均18時間に減少。これだけ残業時間を減らしたにも関わらず、労働生産性は伸びているのだという。佐藤氏は「2024年は16時間を目指していますが、達成できると思っています」と意気込んだ。