「3年で100社を目標に」NRIが先行する状況下、富士通の強みは
──ソブリンクラウドを開始すると2024年4月に発表しましたが、これまでの顧客の反応はいかがでしょうか。想定している顧客の業界・業種はありますか。
反応は非常にポジティブで、問い合わせは増えている。
問い合わせいただいた組織の業界を見ると、金融と製造がそれぞれ4分の1を占めている。官公庁からも問い合わせをいただいている。大体予想通りだが、金融が思ったよりも多いという印象だ。
また、競合他社からの問い合わせも増えている。Oracle Alloyは、ある程度の規模が必要なため、われわれは最初から「富士通の中に限らない」と明言している。つまり、国内のクラウド事業者が、自分たちのソブリンクラウドとしてブランディングして提供することもできる。
──Oracle Alloyを選んだ理由を教えてください。
ハイパースケーラーが類似したものを提供しているが、一部機能を切り出し、エッジとして使えるサブセットにすぎないと理解している。それに対してOracle Alloyは、OCIそのものを小さなアーキテクチャで動かすことができるソリューションだ。他のハイパースケーラーとの大きな違いで、我々の技術者も評価をした。
また、Oracleが日本のソブリンクラウドの要件を満たすことにコミットしている点は大きい。6ヵ月かけて要求に応じてくれた。我々は、富士通が提供するソブリンクラウドをOracleと一緒に作ったと思っている。たとえば、日本国籍を持つ人が日本でサポートする体制を作るという要件があるが、それにも応じてくれた。ここまでソブリンであることにフォーカスする姿勢は、我々にとって心強い。
──Oracle Alloyベースのソブリンクラウドとしては、野村総合研究所(NRI)が先にローンチしています。富士通の強みはどこにあるのでしょうか。
ソブリンクラウドが日本で増えることは良いことであり、一緒にこの分野を広げていきたい。その上で、富士通はソブリンクラウドについて、様々な業種業態、官公庁などとのやりとりを通じてまとめた要件をOracleに伝え、一緒に構築したという点を挙げたい。
我々は日本の幅広いミッションクリティカルなお客様を支援しており、このお客様に対して広く提供できる。ここは大きな強みだと分析している。
富士通はオンプレミスのお客様を多く抱えており、Oracleデータベースの稼働数も多い。そこからの移行も支援できる。
──投資対効果の見通し、今後の計画を教えてください。
3年で100社を目標に掲げている。富士通のクラウドサービスにソブリンクラウドが加わるという位置付けで、ビジネスを伸ばしていきたい。
まずは、日本で2025年4月に提供を開始し、社会課題解決のための事業である「Fujitsu Uvance」のクロスインダストリーを支えるプラットフォームとしても使っていく。その後は、海外展開も視野に入れている。日本企業が海外でソブリンクラウドを使いたいというニーズがあると見ている。