風邪は「癌」、入院は「危篤」
もちろん小沢だけではない。睡眠薬や精神安定剤を飲んでいる政治家、いつ死んでもおかしくない爆弾を抱えている政治家は数知れない。基本的に政治家の病気はストレスから起こる。特に大物政治家はストレスが溜まりやすい。 子分を抱えていれば彼らの資金の心配をしなければならない。
四六時中、大勢の記者に囲まれ質問攻めにも遭う。度重なる外遊、出張、毎晩のように続く宴会。数々の課題を毎日のように自分1人で決断し片付けていれば、どんなにタフな政治家でも、いつかはバタンと打っ倒れるだろう。
池田勇人の首相秘書官を務め、後に政治評論家として活躍した伊藤昌哉は、政治家には2つの生命があると言った。1つは一般人と同じ生理的生命、もう1つは政治生命であり、時に生理的生命を捨ててでも、政治生命を優先するという政治家の過酷さを表現した名文句である。
だが、病気といった生理的生命も政治家にとっては運命に関わる。 政界は「嫉妬の海」と言われる。昔から政治家の病気は、風邪は「癌」、入院は「危篤」と言われるそうだ。
もし病気になり、そのことが周囲に伝わると、ライバルから「危篤説」を流され、さらに政治家としての任務に堪えられなくなるとポストも手放すことになる。そのため政治家たちは、どんなに病に苦しんでも、涙ぐましい演出によって、その健在ぶりをアピールしようとする。