日本国内だけで4ヵ所のデータセンター、他社はマネしない?
──現在、日本では東京に2拠点、大阪に2拠点、計4ヵ所にデータセンターを展開しています。大阪で最初のデータセンターを立ち上げた当初と比べて、パフォーマンスやサービスの面でどのような改善・進化がありましたか。
デパロ氏:いわゆる競合といわれるようなサービスを提供するプロバイダーの中で、独自のデータセンターを所有しているのはNetskopeだけです。独自インフラの保有により、各リージョンで発生する輻輳や障害を回避できる柔軟性を備え、日本市場でも最高のパフォーマンスを実現していると自負しています。さらに、複数のデータセンターを持つことで負荷分散を効率的に行い、最適な通信経路を見つけることが可能となっています。また、Netskopeは市場に存在するすべてのキャリアとの接続に対応しています。
独自のインフラを展開することによるユーザーのパフォーマンス改善には、いくつかの重要な側面があります。まずは、ユーザーが日本を出る必要がない点。この点は非常に重要です。セキュリティサービスを実行するたびに通信がシンガポールや香港に迂回するようでは、日本企業にとって多くの課題が生じるでしょう。Netskopeのデータセンターは日本国内で完結する設計となっており、国外に通信が出ることはありません。
また、これにより目的地へ最速のパスを実現し、日本のユーザーにとってより良いパフォーマンスを提供できる点も重要です。通常のインターネット利用では、輻輳やパフォーマンス低下を柔軟に制御することは難しいです。
そして、国内に複数のデータセンターを設置しているため、セキュリティポリシーの適用やアプリケーションの処理によってユーザーの業務やワークフローを阻害することがない点が、次に重要な点です。
──今後も日本でデータセンターを増設する予定はありますか。また、このような設備投資はサービスの品質向上につながることは理解できますが、直接収益へと結びつくわけではありません。それでも独自のデータセンターを増やし続ける理由とは何でしょうか。
デパロ氏:まず、事業の成長に伴い日本のデータセンターは今後も増設していくでしょう。ユーザーの成長やニーズの変化に応じて、市場全体で規模を拡大していきます。
1つ前の質問から続く話になりますが、Netskopeが独自のインフラを所有し続ける理由は主に2つあります。1つ目は「現段階では、同じレベルの品質と検査基準で我々のクラウドサービスを運用できる代替インフラが存在しないから」です。たとえば、AmazonやGoogleといったパブリッククラウドプロバイダーを利用する場合、運用するデータセンターは限定されるため、ネットワークやルーティングをユーザー自身で完全に制御することはできません。すると、私たちが提供するサービスの機能までも制限されてしまいます。
もう1つの理由は、「コスト面でのメリット」です。実は、パブリッククラウド上にインフラを構築した場合、ハードウェアを購入して自社でデータセンターを運営するよりも、はるかに高いコストがかかります。独自インフラを所有することで、第三者にインフラの運用を依頼する必要がなくなり、卸売価格でハードウェアを購入して自社で運用できるのはご存知でしょうか。こうなれば、パブリッククラウドプロバイダーを利用するよりも大幅に安価な運用を実現できるのです。
──それほど大きなメリットがあるのだとしたら、いわゆる競合他社の中でも同様の取り組みを始めるところが出てきそうですね。
デパロ氏:現状、大多数の競合他社は大手パブリッククラウドの利用にとどまっています。既に大規模なプラットフォームを構築していると、後から異なるスタイルのネットワークを追加で運用するのは非常に困難だからです。よって多くのプロバイダーは、既存のソリューションを維持しながら販売を続けています。ですから、独自のアプローチを採用しているNetskopeには大きな優位性があると言えるでしょう。