Workdayは、『The Global State of Skills(グローバルスキル実態調査)』の結果を発表した。
同調査では、世界中の企業が直面する喫緊の課題が明らかに。日本の管理職の60%(グローバル:51%)が将来の人財不足に懸念を示しているという。自社が長期的な成功に必要なスキルを持っていると確信している人は、わずか26%(グローバル:32%)にとどまるとのことだ。
AIが産業構造を変革する中、仕事での成功に必要なスキルも急速に変化している。しかし、自社の人財が持つスキルを正確に把握できている企業は多くなく、日本では管理職の約半数の51%(グローバル:54%)にとどまるとしている。
この状況が深刻化する中、役職や学歴、職歴に焦点を当てる従来の人財評価基準の限界が浮き彫りに。こうした課題に対応するため、企業はスキルベースの人財戦略へと急速に移行を始めているとのことだ。この戦略は経歴よりも個人のスキルを重視し、採用、育成、配置の各プロセスにおいて、よりアジャイルでデータ駆動型の意思決定を可能にするという。
主な調査結果
- スキルベース戦略は「未来の働き方」という概念から、競争優位性へと進化している。日本の管理職の76%(グローバル:81%)が、スキルベースのアプローチを導入することで、生産性、イノベーション、組織の俊敏性が向上し、経済成長を促進すると考えている
- スキルベースへの移行はすでに始まっている。日本企業の47%(グローバル:55%)がスキルベースの人財モデルへの移行を開始しており、さらに25%(グローバル:23%)が今年中に取り組みを開始する予定
- スキルベース戦略は機会格差の解消にも貢献する。主要なメリットとして、日本の管理職の75%(グローバル:82%)が従業員のキャリア機会の増加、70%(グローバル:72%)がワークフォースの公平性向上、67%(グローバル:61%)が失業率の低下を挙げている
AIがスキルベース人財管理への移行を加速
AIの台頭が仕事のあり方を変化させる一方で、企業がより柔軟でスキル駆動型のワークフォースを構築することも可能にしているという。調査によると、AIは以下の点で移行に重要な役割を果たしているとのことだ。
- 定型業務や反復的なタスクの効率化:日本の管理職は特に強い関心を示している(日本:62%、グローバル:52%)
- データ駆動型の洞察による意思決定の強化:日本の管理職の58%が同意(グローバル:52%)
- 学習と能力開発プログラムのパーソナライズ:日本の管理職の55%が同意(グローバル:47%)
- 将来必要となるスキルの予測:日本の管理職の39%が同意(グローバル:45%)
人間固有のスキルがさらに価値を増す
技術的なスキルへの需要が高まる一方で、今回の調査は、人間固有のスキルの重要性が同様に高まっていることを浮き彫りにしているとのことだ。日本とグローバルの両方で、コミュニケーションやチームワークといった対人スキル、そしてレジリエンスや創造性といった個人的スキルが、現在の組織で最も重要なスキルギャップとして挙げられているという。次いで、AIやソフトウェアの活用能力を含むデジタルリテラシーの重要性が高まっているとしている。
導入に向けた課題と推進のための戦略
スキルベース戦略への注目が高まる一方で、管理職は以下のような主要な課題を挙げているという。
- 従業員のリスキリングに必要な時間(日本:55%、グローバル:43%)
- 変化への抵抗感(日本:46%、グローバル:38%)
- スキルベースの人財管理をサポートするインフラの不足(日本:21%、グローバル:28%)
- 不十分なスキル測定ツール(日本:21%、グローバル:28%)
このデータは、日本特有の変革アプローチのパターンを明らかにしているという。日本の組織はグローバル平均と比較して、技術的障壁は少ないものの、リスキリングにより多くの時間を要し、変化への抵抗も強いという人的要素に関する課題に直面しているとのことだ。このことから、日本企業の主な課題は技術導入そのものよりも、企業文化の適応にあることを示唆しているという。
この調査結果によると、人間を中心とした課題の特性から、技術導入だけでは十分な解決策にならないことが明らかに。これらの課題を克服するには意識改革が必要だという。日本では、回答者の58%(グローバル:48%)が明確なメリットを伝えることが重要だと考え、57%(グローバル:48%)が効果的な変革管理が必要だと回答。これらの数値は、変革の成功には企業組織全体の強力な連携が重要であるという日本市場の特性を示しているとのことだ。
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