急務となる「自動車サイバーセキュリティ」の対応、IT部門が知っておくべきSDV時代の基礎知識
【第1回】SDVとは何か? 自動車サイバーセキュリティを取り巻く環境変化
SDVが自動車産業構造やサプライチェーンへ与えるインパクト
これまでのように自動車の価値がハードウェアで決まっていた頃は、自動車産業のサプライチェーンはピラミッド構造で表現されていました。頂点に自動車メーカー(OEM)があり、その下に部品サプライヤー(Tier1、Tier2など)が連なる形です。しかしながらEVだけでなく、SDVでも先行するTesla(テスラ)社のビジネス構造は異なり、開発から製造の多くを自社で完結しています(下図1参照)。

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たとえば、SDVに欠かせないクラウドのベンダーであるAmazon Web Services社、高いエッジコンピューティング能力を持つ半導体を提供するNVIDIA社は、トヨタ自動車をはじめとするOEMと直接ビジネスをしています。また、Tesla社はSDVに欠かせないSmart Cockpit SystemやInfotainment機器を自社設計・開発し、主要な半導体などをサプライヤーから調達しています。
さらに旧来から自動車業界以外でソフトウェアや関連するサービスに強みをもっていた企業、SDV化に向けたビジネスをきっかけに誕生した新興企業にとっては大きなチャンスとなっており、様々なスタートアップ企業がOEMとのコラボレーションを進めています。多くの企業にとってビジネスチャンスが生まれている一方、これまでハードウェアを中心としたサプライヤーとしてビジネスを行ってきた企業にとっては、ソフトウェアファーストの流れに乗るか乗れないか、ソフトウェア開発力を強化できるかなど、新たな競争も生まれています。
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小田 章展(オダ アキノブ)
VicOne株式会社 日本地域代表 ヴァイスプレジデント 兼 セールス & ビジネス開発リード
自動車業界でのカーナビ・カーオーディオの設計開発、エレクトロニクス商社でのFAE・マーケティングを経て、IoT技術の登場以降は事業開発やコンサルティングなどで幅広い経験を積み、トレンドマイクロに入社。現...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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