日立製作所(以下、日立)は、エンタープライズクラスのデータ記憶装置、ストレージにおいて世界トップシェア*のベンダーだ。IT投資の最適化、既存データの安全な保管と活用が時代の要請となっている今、日立が提供するストレージソリューションへの期待は増すばかりだ。
情報システム部門が抱える課題解決の鍵となるストレージ仮想化技術やクラウドコンピューティングなど幅広い話題について、アイ・ティ・アールのシニアアナリスト舘野真人氏がお話を伺った。
* エンタープライズアレイ、容量ベース 調査会社レポートによる日立調べ(2009 年6月時)
時代が支持するオープンマインドのストレージ戦略
舘野
現在、企業の情報システム部門はさまざまな課題を抱えています。厳しい経済状況によりIT投資抑制が求められているのと同時に、業務の効率化だけでなくビジネスへの貢献が求められている。IT システムがますます複雑化すると同時に、企業の持つビジネス情報が急増しています。そしてその情報も、従来の構造化データに加え、電子メールや画像、動画などの非構造化データが増え、多様化している。そしてそのビジネスデータは、各企業の貴重な資産です。
日立はITシステムにおいてすべての基盤となるデータやプログラムを記憶する装置、ストレージでは世界有数のベンダーです。私の個人的な印象では、日立のストレージ事業は他社製品との親和性が高い、オープンなマインドで展開されてきたと感じています。その戦略というのは、こういう厳しい時代になって、ユーザーから支持されているのでしょうか。
株式会社 日立製作所 RAID システム事業部
事業部長 岩崎秀彦氏
岩崎
IT投資の最適化ではやはり、最初のイニシャル投資をどうするかが大きなポイントになっています。同時に運用コスト抑制も必須です。その意味で、他社のサーバ、メインフレームに接続可能ということが、お客さまにとって最高のソリューションだと考えています。日立はグローバル化を強く打ち出しており、ストレージは米国の西海岸に本社を持つ日立データシステムズという販社が世界170 ヵ国以上で販売を行っています。広く門戸を開いて、どこでも使える接続性を確保するというポリシーに変わりはありません。
そうした中、日立は2007 年に新たなストレージビジネスのコンセプト「Services Oriented Storage Solutions」を策定しました。単なるハードウェアの販売ではなく、お客さまの視点に立ったソリューションを基盤としたものをワールドワイドで提供しようというものです。ここで私どもが一番注力しなければならないのは、安全なデータの有効活用と、ストレージのTCO(Total Cost of Ownership)削減の両立です。いかにROI(Return on Investment)向上を支援できるかが、最重要ポイントになっています。