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 生成AIを利用・提供する事業者における利用規約の確認ポイントについて田中氏は、経済産業省が2025年2月に公表した『AIの利用・開発に関する契約チェックリスト』を参考資料として紹介。生成AIを利用する場合の利用規約の具体的な確認事項例としては、AI生成物である旨の表示義務、著作権の帰属や権利行使に関する制限、商用利用の可否などがあげられる。特に、「現場が選択したAIツールが実は商用利用禁止だった」という事態を避けるため、利用規約の事前確認が重要だとした。

 また、社内での生成AI活用ルールの整備については、日本ディープラーニング協会が提供するひな形の活用が有効だという。生成AIの利用が禁止されている用途やデータ入力時に注意すべき事項などが詳細に記載されており、自社内のルールを定めるためのスタートポイントとして有用だ。しかしこのひな形は、あえてデフォルトでは利用を厳格に制限するルールとなっているため、自社の実情に応じて適切に修正していく必要がある

 社内における生成AI活用の運用ポイントとして、田中氏はまず「どんなに短くて抽象的なものであってもルールを定めることが重要」と説明。具体的なルールを定める際は、実際に利用が想定されているAIサービスを踏まえて作成すべきだとした。社内で利用するサービスが変わったり、活用する範囲などが変わったりした際は、その都度改訂していきながら柔軟に対応していくことが肝だ。

 また、利用を禁止するか許可するかという2つの区分のみで判断することが難しい場合は個別承認制を導入することも一手だという。生成AIの利用にあたって不明な点がある場合や、違反の恐れがある場合などに、気軽に相談できる窓口を設置することもポイントの一つだとした。

 そのほか、利用規約との関係や事後的な混在を回避するといった観点から、生成AIで生成したものを明確化するよう義務づけることも重要だ。加えて、生成AIの使用状況を記録として残すルールを定めることで、著作権侵害の依拠性判断・権利帰属などの立証の際に役立つ。

 「ルール策定においては、一度作ったらそれで終了という意識ではなく、定期的に遵守状況をチェックしながら適宜見直しすることを前提に進めていく必要がある。ルールが守られていない場合はその原因を分析し、社内に合った難易度で再度ルールを定めていくことが重要だ」と田中氏。生成AIの技術は目まぐるしく進展するため、その動きにあわせて柔軟に対応することが、今の企業には求められている。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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