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なぜ企業は今、マスタデータ管理に本腰を入れるのか?──3年で4倍に拡大中のMDM企業CEOに訊く

SalesforceによるInformaticaの買収はStibo Systemsにとって「好機」?

他社とは違う「4つのポイント」 ERP刷新を追い風に需要拡大

 Stibo Systemsの差別化要因について、カー氏は4つのポイントを挙げる。第一に40年間の実績による豊富な機能、第二に「一つのプラットフォームで、製品から顧客、サステナビリティまで多様なデータグループを扱うことができる」包括性、第三にMicrosoft AzureベースのクラウドネイティブでAI駆動の技術、最後に財団による長期的安定性とした。

 技術面では、Microsoft Azure上でデータの統合、ガバナンス、重複処理を一元化し、データマッチングや製品情報の自動拡充機能を備える。特徴的なのがシンジケーション機能で、「たとえばアディダスでは、同社がブランドに関する情報をプラットフォーム上で作成するだけで、アディダス製品が販売される場所なら、(小売業者などに)同一のデータが共有可能です」とカー氏は説明し、新製品の販売開始がスムーズに行えることを強調した。

 また、近年の成長要因として、カー氏はAI活用におけるデータ品質の重要性を挙げる。「『Garbage in, garbage out(ガベージイン・ガベージアウト)』──つまり『ゴミを入れればゴミが出る』です。良いデータがなければ、AIをうまく利用できません」と話す。

 さらに、データ配信のスピードは競争力に直結する。新製品の発売やパンデミックのような緊急事態に迅速に対応できる企業とそうでない企業の差は、データ基盤の質にかかっているといえる。実際、コロナ禍で同社の顧客である小売業者では、データがStibo Systemsに整備されていたおかげでわずか3ヵ月でオンラインストアを立ち上げることができた。「良いデータがあれば、アジャイルになります。迅速に動くことができます」とカー氏は強調する。

 技術的な背景では、既存システムの刷新も同社への追い風となっている。多くの企業がSAP S/4HANAなどの新しいERPシステムへの移行を進める中で、マスタデータを一元管理する必要性が高まっているためだ。従来のスプレッドシートや手作業によるデータ管理から脱却し、統合されたデータ基盤への移行が急務となっている。

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MDM導入はまるで“配管取り換え” より大きな成果を得る基盤

 しかし、MDM導入は決して容易ではない。導入成功の要因について、カー氏は「変化は困難です。技術のためではなく、通常は人のためです」と前置きした上で、3つの重要な要素を挙げる。

 第一に人的要因だ。ビジネス部門とIT部門の連携、そして経営層のスポンサーシップが欠かせない。同社では顧客企業のエグゼクティブと、既存関係を持つシステムインテグレーターと連携してアプローチする。

 第二にプロセスの工夫だ。小売業で200回、製造業でも約200回の導入実績から蓄積したベストプラクティスを活用し、「迅速な成功を得るためのアジャイル開発に焦点を当てています」。最小実行可能製品(MVP)で早期に成果を示すことで、チームと経営陣の両方が手応えを感じられるようにする。

 第三に技術的な配慮だ。直感的でAIサポートされ、ミスを防ぐ「ガードレール」機能を組み込んでいる。

 こうした導入の困難さについて、カー氏は身近な例を挙げて説明する。

 「家の配管を変えるのと似ています。誰もやりたがらないし、お金も使いたがりません。ただ、もし今よりも配管が良くなったとき、新しく何ができるようになるのかを考えてみてください」(カー氏)

 MDM自体は成果ではなく、より大きな成果を得るための基盤だという認識が重要だ。

 現在、AIブームがMDM導入を後押ししている。「イネーブラーなしにはAIの成果を得ることができないということを人々に気付かせたからです」。実際、他社製品で失敗した企業からの相談も増えているという。

SalesforceによるInformatica買収が与える影響は?

 AI活用を背景に、データ管理業界では大型M&Aが活発化している。2025年5月にはSalesforceがクラウドデータ管理を手掛けるInformaticaを買収すると発表した。この動きについて、カー氏は「我々もアプローチを受けていますが、『売り物ではない』と言っています」と、財団所有の安定した経営を改めて強調しながら、独自の見解を示した。

 「Informaticaは我々にとって強力な競合で、我々よりもはるかに多くのことをしています。特にここ日本で、何度も競合しています。Salesforceは顧客データ管理に特化していますが、Stibo Systemsは製品、サプライヤー、拠点など多様なデータ領域をカバーしています。顧客ドメイン以外を扱うInformaticaの既存顧客は、Salesforceにとって重要度が下がるでしょう」(カー氏)

 8回のM&A経験から得た洞察として「買収企業は統合作業に気を取られ、最も重要な顧客への注力を忘れがちです。私たちにとっては好機と捉えています」と強気な姿勢を見せた。

 カー氏に日本の潜在顧客についてのメッセージをリクエストすると、日本法人メンバーを指して「困ったことがあれば、彼らに電話してください。支援体制は整っています」と話したあと、次のように語った。

 「MDMの領域は、困難な問題が最終的に行き着く場所です。だからこそお客様はStibo Systemsにいらっしゃるのです。それが、私たちが日本で成長している理由です」(カー氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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