主力事業が逆転したベルーナ……データに基づく顧客理解で通販事業の“再起”に向けた業務改革に挑む
「AI Innovation Day Tokyo 2025 Winter」講演レポート
「顧客志向」を掲げる企業は多いが、実践することは難しい。国内総合通販市場で存在感を示し続けてきたベルーナ。同社はこれまでのビジネスで蓄積してきた顧客データ資産をフル活用し、顧客密着型経営を実践している。テラデータが主催した2025年12月に開催された「AI Innovation Day Tokyo 2025 Winter」の事例講演で、これまでの取り組みが紹介された。
10年前の事業構造から大きく変化
「お客様の衣食住遊を豊かにする」を経営理念に掲げ、通販事業を中核に様々な事業を展開しているベルーナ。創業後、陶器や家庭用品の通信販売から事業を拡大し、女性の社会進出のトレンドに乗じて女性向けアパレル通販で飛躍のきっかけを掴んだ。カタログ「ベルーナ」を発刊したのが1986年。2023年3月末時点における登録会員数は2,330万人を超え、その約8割を40代以上の女性が占める。主力のカタログ通販のほか、昨今は店舗販売やオンライン販売も手掛ける。その成長過程で蓄積してきた膨大なデータを武器に、ベルーナは通販事業だけでなく、プロパティ事業(ホテル運営)、ソリューション事業、呉服関連事業など多角化戦略で事業を成長させてきた。
ベルーナの収益構造は10年前と比べると大きく変化している。2015年度と2025年度の連結営業利益を比較してみると、2015年度は6,376百万円で、そのほぼ半分を通販事業が占めていた。2025年度は、営業利益11,890百万円のほとんどがプロパティ事業やソリューション事業と主力事業が入れ替わっている。
「経営理念で、お客様の衣食住遊を豊かにすることを掲げている。コロナ禍の巣篭もり需要で通販事業も一時期は盛り返したが、現在は円安や、カタログの紙や印刷コスト、配送コストの上昇の影響を受け、再び難しい状況にある。衣料品や雑貨は、価格を上げるとお客様は購入を控える場合がある。それでもビジネス成長に向けて、お客様に受け入れられる工夫を実践してきた」と浅沼泰匡氏(執行役員 情報システム本部長)はこれまでの業務改革の歩みを振り返った。
IT部門には業務改革のリーダーシップが求められている。一般に、事業の先行きが難しくなると、IT部門に相談が来ることが多い。ベルーナも同じだが、個々の要望が業務改革で取り組むべき案件かの判断は、「難易度が高い」「コストがかかる」「関連部署が多い」「機能要件の具体性が低い」の4つを評価した結果で決めているという。
たとえば、「新しいデータを見たい」という要望については、難易度もコストも低い。関連部署も限定的で、増やすべき出力項目は明らかであるため、業務改革ではなく、保守案件として扱う。これに対して、「業績回復に貢献する施策に協力してもらいたい」という要望は、前述の4つすべての条件に当てはまるので、業務改革の案件になるといった具合だ。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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