UmiosがAI予測で4,200時間の工数削減へ 基盤構築時に痛感したデータ整備・運用設計の重要性
運用設計で直面した3つの課題と、2つの失敗 PJ成功要因は「AI予測の精度向上」ではなかった
2026年6月25日〜26日にかけて開催されたAWS Summit Japanの講演にて、Umios(旧マルハニチロ)は「Umios(旧マルハニチロ)が時系列基盤モデルChronos-2で実現する販売計画AI―過剰在庫の削減・作業4,200時間削減への裏側―」と題し、時系列基盤モデルを利用して構築した需要予測の仕組みの詳細を発表した。
ビジネスに直結する販売需要の予測にAIを組み込む
マルハニチロは、2026年3月に社名をUmiosに変更した。新しい社名には、同社のルーツである“海”を起点としながら、地球環境の変化にともなう様々な社会課題に対し、食を通じて地球規模の社会課題解決に挑戦する決意が込められている。パーパスには「For the Ocean, For Life(海といのちの未来をつくる)」、その実現に向けた「喜び」「開拓者」「持続可能性」「誠実」「経験」という5つのバリューを掲げている。食品の会社からソリューションを提供する会社に生まれ変わるべく、様々な活動に取り組んでいるという。
Umiosの事業領域は多岐にわたり、漁業や養殖を通じた水産物資源の調達に始まり、加工食品の製造、食肉や農産品の輸入と販売、健康食品や化成品素材の提供、さらには加工後のリサイクルに至るまで幅広くビジネスを展開している。また、顧客も一般消費者だけでなく、業務用途での企業なども対象だ。Umios DX推進部 営業デジタルマーケティング推進課 主任の大木優子氏は、「デジタル戦略では、DXを『共創し、変革し続けること』と捉えている。デジタルテクノロジーはあくまでもツール(武器)の一つであり、その武器を使って新たな価値を生み出し、既存業務を変革しつづけることこそがDXであると定義している」と語った。
今回のプロジェクトのテーマ「販売計画の自動化」は、営業DXの取り組みの一つになる。プロジェクトでは、顧客起点で価値を提供するためのデータ分析と、顧客への価値提案に充てる時間を生み出すための業務効率化という2つの側面から取り組みを進めたという。なぜ「販売計画」のプロセスに焦点を当てたのか。Umiosにおける販売計画とは、様々な情報を基に計画的に商品を生産するための土台であり、生産や在庫管理においても重要である。ところが、プロジェクト開始前、この業務は担当者の勘や経験に大きく依存したものであった。
同社の販売計画は、営業担当者が数ヵ月先の販売数量を事業・商品・倉庫ごとに予測して作成する。各販売支社の担当者は、過去の出荷実績や季節性、そしてそれぞれに把握している販売増減の情報を加味しながら、毎月の需要予測を行ってきた。全支社で合計すると、その業務量は膨大なものになる。手段と目的が逆になりがちなAI導入だからこそ、現状分析とあるべき姿を定義するうえで目的を見失わないことが重要だ。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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