UmiosがAI予測で4,200時間の工数削減へ 基盤構築時に痛感したデータ整備・運用設計の重要性
運用設計で直面した3つの課題と、2つの失敗 PJ成功要因は「AI予測の精度向上」ではなかった
AI活用に向けた精度検証の試行錯誤で得た“ある気づき”
Chronos-2とは、LLMと同じアーキテクチャを採用しながらも、多変量予測や共変量予測に対応できる基盤モデルである。大木氏に続いて登壇したUmios DX推進部 DX推進課 主任の浦本和司氏は、「AIを自前で作り込むのではなく、既存の優れたモデルを使うことを選んだ」と述べ、同モデルを導入した理由を3つ挙げた。1つが、Chronos-2が事前学習済みであること。学習モデルをゼロから構築する必要がなく、導入から予測開始までのリードタイムを短縮できる。2つ目が、APIをワンコールで呼び出せること。テクノロジーを実装するチームがビジネスロジック本体の開発に集中できる。3つ目が、デプロイが容易であること。自前でインフラ環境を構築する必要がないことが決め手となった。
さらに、あえて避けた選択肢として浦本氏が挙げたのが、「社内生成AIを使っての直接予測」と「独自モデルの構築」である。前者については、そもそもLLMが時系列予測に対応していないこと、そして確率論的な出力になる点を懸念した。後者については、学習コストが高いこと、そして社内体制面での負荷を踏まえて見送った。システム構成は、既存の実績データベースやBIツールには手を加えず、その外側にAI予測を付加した設計を採用した。この構成は、業務への影響を最小限に抑えながら、迅速に精度検証を行うためのものでもあった。
「精度検証では、具体的な目標数値を定める前に、受け入れてもいいと考える合格ラインをどこに置くかで、事業部側と話し合い、合意することを重視した」と浦本氏は話す。採用基準は予測一致率80%、対象を業務用カテゴリーの代表品目とし、Chronos-2の予測値を人が入力した計画値および実績値と比較して精度を検証した。最初の検証で予測一致率95%を達成し、合格ラインを大きく上回ったものの、定番品と季節品でばらつきがあることを発見。そこでChronos-2が示す予測レンジを活用し、定番品には中央値を、季節品には保守的な値を採用する使い分けを行うことで対策を講じた。
試行錯誤の過程では、「実績データが必ずしも真の需要を示さない。データの取捨選択こそが精度を左右することに気づいた」と浦本氏は打ち明ける。AIからは大きな需要がある商品と見えるが、処分販売などのノイズになっていること。あるいは夏冬の季節需要を正確に捉えるには、データ範囲を最低2年に拡張する必要があることなどの気づきを得た。処分販売のデータを予測対象から除外すること、季節性を捉えるためのデータ範囲を2年に拡張、「月」を予測パラメーターに追加したことで誤差を縮小できた。
目標とした予測精度
出典:Umios
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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