UmiosがAI予測で4,200時間の工数削減へ 基盤構築時に痛感したデータ整備・運用設計の重要性
運用設計で直面した3つの課題と、2つの失敗 PJ成功要因は「AI予測の精度向上」ではなかった
Umiosが経験した2つの失敗 マスタデータ整備の重要性を痛感
浦本氏は、失敗談も2つ紹介してくれた。1つは、商品コードの改廃に関するものである。商品のサイズや内容量などの規格が変わるとJANコードも変わり、同一商品であっても販売履歴がリセットされてしまう。実際、ある冷凍食品では2010年から2025年の間に5回のJANコード変更があった。人間であれば同一商品と判断できるが、AIは別商品として認識してしまう。新旧コードの紐付けは手作業で対応可能ではあるものの、予測精度の前提としてマスタデータ整備の重要性を痛感することになった。対象にした業務用カテゴリーでは該当品目がなく、問題として顕在化したわけではないが、他カテゴリーへ展開する際には避けて通れない。
もう1つは、入力の仕組み化に関するものだ。当初、販売計画策定準備でのデータ入力方法を全国共通と想定していたが、実際には販売計画システムへの入力、Excelでの管理、さらには入力自体が行われていない拠点まで存在し、需要予測以前の状況にあった。そこで浦本氏らは、簡易入力アプリケーションを自分たちで構築し、全国共通フォーマットでの入力と月次の定時同期を実現。データ入力の均質化につなげた。
業務用カテゴリーのみになるが、毎月の販売計画の入力はAIが担当するようになるため、マニュアル入力の時間、欠品対応や在庫滞留対応時間の削減を合わせ、本番稼働後は年間約4,200時間の削減効果を見込んでいる。役割分担としては、AIが作った予測はあくまでも提案であり、担当者がレビュー、修正の上、責任を持って確定させる体制とし、人がコア業務に集中できる土台を構築した。大木氏も浦本氏も、「今回の取り組みにおける成功要因は、予測の精度向上ではなく、データと運用の設計にあった」と口を揃えた。
この取り組みから浦本氏は「データ品質の重要性」「運用設計に時間をかける重要性」「現場が回る運用事例をつくる重要性」という3つの学びを得たと総括した。今後に向けては、このプロジェクトの実施内容を拡張する計画も構想している。現在は予測である程度の目処がついた状況だが、続くステップ2では予測根拠の説明、ステップ3ではAIによる次の打ち手の提案へと、段階的にAIの適用領域を拡大していく。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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