UmiosがAI予測で4,200時間の工数削減へ 基盤構築時に痛感したデータ整備・運用設計の重要性
運用設計で直面した3つの課題と、2つの失敗 PJ成功要因は「AI予測の精度向上」ではなかった
計画策定フローの棚卸しで見えてきた「運用の不統一」「属人化」「予測」問題
プロジェクトの開始にあたり、Umiosではスコープを業務用のビジネスに絞った。それでも対象商品は600品目超。それぞれの販売タイミングをつかむことは難しく、毎月の需要予測は営業担当者にとって非常に負荷の高い業務となっていた。大木氏によれば、整理したプロジェクト方針は次の3つとなる。「予測精度の向上よりも工数削減を優先すること」「営業現場の作業負担を減らすこと」「AIで何ができるかではなく、理想の姿に近づけるためにAIを活用すること」だ。
従来の計画策定フローは、3ステップに分解できる。ステップ1では、営業担当者が各自の得意先の販売増減情報をExcelで更新する。ステップ2では、各支社の計画策定担当者が、商品別および倉庫別に月次で販売計画を策定する。最後のステップ3では、事業部がその販売計画を基に生産計画を策定するという流れだ。プロジェクトの運用設計フェーズでは、各ステップに紐づく3つの課題に直面した。
ステップ1での問題は、販売増減情報の入力運用が全国で統一されていなかったことだ。各自が使うツールが異なれば、集計にも時間がかかる。入力漏れやミスがあれば、予測の前提が崩れてしまう。この問題には、後述する簡易入力アプリケーションを提供し、入力プロセスの共通化を図った。
続くステップ2では、計画策定者の入力値の根拠が個人の経験に依存していたことを問題視した。たとえば、人気商品は欠品リスクを避けたいがために過剰見積もりになってしまう。結果的に、過剰在庫を抱える構造になっていた。これに対して構築した新しい予測の仕組みが、時系列基盤モデル「Chronos-2」を使ったものになる。
ステップ3では、計画の予測そのものに難しさを感じていたようだ。販売計画確定後はすぐに各工場での発注・生産が始まるが、毎日の需要変化で月次の計画との間にズレが生じる。このズレを放置したまま、計画通りに生産するわけにはいかない。この問題には、最新予測値をChronos-2から日次で出力し、予測値と計画値の乖離を可視化するBIダッシュボードを構築することで、担当者が状況変化へ迅速に対応できる体制を整えた。
時系列基盤モデルChronos-2
出典:Umios
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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