フィジカルAIを工場で大規模展開するには「〇〇が足りない」 注目テック3社が米国で社会実装の壁を議論
AMD Advancing AI 2026 現地レポート Vol.4【フィジカルAI・分科会編】
最も汎用的なフィジカルAIの形は本当に「ヒューマノイド」なのか?
デオスタリ氏(AMD):次にサンケートさん、Foundationは「Phantom(ファントム)」というヒューマノイドを手掛けていますよね。このロボットはどんなユースケースを想定しているのか。また、なぜヒューマノイドが正しい形だと考えたのかを教えてください。
※3 Foundation:2024年に設立した、軍事、産業・物流向けに特化した汎用人型(ヒューマノイド)ロボットを開発するスタートアップ。
サンケート・パタック氏(Foundation):Foundationは、ヒューマノイドロボットを開発する企業です。用途は家庭用でも軽作業用でもありません。重量物の持ち上げや運搬、技術的に管理されていない屋外環境での作業といった、重工業や軍事での用途を想定しています。その第1世代が「Phantom MK-1」です。また、今後数ヵ月のうちに、雨の中でも動ける防水・防塵のロボットを発表する予定です。
「なぜヒューマノイドなのか」という問いに対しては、我々はロボティクスの正解が人型だと言い切るつもりはありません。PCが発明されたときだって、正しいマシンの形は誰にも分からなかったはずですよね。ただ、この形がおおむね最も汎用的であることは確かです。
デオスタリ氏(AMD):なぜ人型が「汎用的」だと?
パタック氏(Foundation):自動化されたプロセスが機能不全に陥った場合、ほとんどのケースでは人間が代替として入ることになりますよね。また、人間が作り上げてきた世界は、当然ですが人間を中心に作られています。汎用性を追求するのであれば、サプライチェーンもSKU(品目)も一つに絞り、安価で、信頼でき、人間が今日こなしている労働をほぼすべて担わせるほうが理にかなっています。
ただ、これに対し主に2つの批判があります。第一に、工学的な難易度が非常に高いという指摘、第二に「最も効率的な解ではないかもしれない」という指摘です。たしかに研究を進めれば、さらに効率的な形が見つかる可能性はあります。
ただ、仮に人型が仕事効率の面で最善でなかったとしても、この世界でこなせるユースケースが桁違いに多いぶん、はるかにコストパフォーマンスを両立した大量生産が可能で、最終的に最も効率的だと言えるようになる。これが私の考えです。労働のほとんどが自動化されていく世界では、こちらのほうが重要でしょう。
デオスタリ氏(AMD):Phantomの基盤についても少し教えてください。
パタック氏(Foundation):Phantom MK-1は当初、NVIDIAのプラットフォーム上で構築していました。しかし現在は、AMDへ移行しています。その結果、電力あたりの性能が2〜3倍近くまで向上したんです。そのため、第2世代ではAMD搭載のものだけを購入するとFoundation内でも表明しています。加えて、パートナーシップもコンピュートボードにとどまらず、FPGA(用途に応じて回路を書き換えられる半導体)や新しいSoC(System on Chip)などの分野へと広がっています。
ロボットは、胸の中に収まるGPUとCPUだけで動くのではありません。モーター制御ボード、ネットワークボード、センサースタックなど様々なパーツが全体に分散しています。そして、各パーツは低遅延かつ高い信頼性のネットワークで接続され、「分散した知能」も必要です。AMDは、この構成要素がすべてそろった形を全体として考え抜いて提供している、唯一のパートナーだと思います。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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