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フィジカルAIを工場で大規模展開するには「〇〇が足りない」 注目テック3社が米国で社会実装の壁を議論

AMD Advancing AI 2026 現地レポート Vol.4【フィジカルAI・分科会編】

いくら自律化が進んでも、失敗が許されない産業の現場で「決定論なし」はあり得ない?

デオスタリ氏(AMD):マイクさんに戻ります。産業界は長年、決められた(決定論的な)工程やオペレーションをミスなくこなし、徹底的な安全性を極めることに注力してきましたよね。しかし現在、ダウンタイムが許されない生産現場に、AI駆動のロボティクスが入ってきています。AIソフトウェアと決定論の相性、加えて安全性についてはどう考えるべきでしょうか。

ラーベ氏(ボッシュ・レックスロス):先ほど紹介したctrlX OSでは、あくまでも決定論的なシステム層の上にエージェント層を置くアーキテクチャを採用しています。いかなる時代や技術環境であれ、産業の世界で決定論を妥協することはあり得ません。

 この点で、我々はAMDを評価しています。AMDは、同じハードウェア上でエージェントを並行して走らせながら、下の層にはエージェントが干渉できないアーキテクチャを提供してくれます。実行を担うのは、常に決定論的な層です。AIの役割は「提案」に限定されます。そして、AIが提案したことはすべて二重にチェックされ、下の層には常に「それは安全ではない」と拒否できる余地があります。

デオスタリ氏(AMD):もう一つ考えるべき点として、フィジカルAIとは、ロボット群やインテリジェントデバイス群が互いに会話する、デバイスをまたいだ分散知能の姿だと言えますよね。この仕組みの上で、どう決定論やリアルタイム性を実装するのでしょうか。

アルジョマンディ氏(mimik)決定論的に動きながらも、その都度発生する事象にもリアルタイムで反応できる……。そんな両利きの仕組みを可能にするのはAIエージェントです。たとえば、ヒューマノイドがパレットを持ち上げて、視界がふさがったとしましょう。すると、カメラデバイス(眼)から「動かないで、何かが近づいている」という通知が出ますよね。この事象に対し、デバイスやシステムをまたいで動的にやり取りし、互いを発見し、「非決定論的な事象」に反応できるようにするのは、まさにエージェントの仕事です。

 AMDのSoC(Ryzen AI Embedded X100)を使ったフィジカルAIで計測したところ、産業現場での運用において異なる種類のワークフローを混在させた場合、推論を行いたい場合でも、大半のケースでワークロードの約80%がCPU側に載ることが分かりました。そこでmimikは、エージェント運用のために専用設計した「edgeEngine」という実行環境を開発しました。これは、ワークフロー、推論、実行をキューイングできる点に革新性があります。

デオスタリ氏(AMD):なぜ革新的なのですか。

アルジョマンディ氏(mimik):キューイングは、フィジカルAIの社会実装を考える上で欠かせない要素だからです。たとえば、4つのAIエージェントが1基のGPUを計算基盤として推論を行っている間、他のAIエージェントはキューに並び、自分の順番を割り振られて待機します。一度に使える計算資源には限りがありますからね。この交通整理が、実社会での物理的な仕事をAIに任せる際にも必ず発生するんです。

デオスタリ氏(AMD):なるほど、AIの順番待ちが実世界で起こると……。

アルジョマンディ氏(mimik):だからこそ、フィジカルな仕事には運用エンジンが必要となります。OSがあれば十分というわけにはいきません。edgeEngineはわずか2メガバイトのサイズで、APIゲートウェイを内蔵しているためエージェント同士がAPIで対話できる仕組みになっています。また、MCP(AIが外部ツールを呼び出すための共通仕様)も内蔵しています。

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ベンダーロックインは可能性を潰し、技術の普及を遅らせる

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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