米投資ファンド大手のSilver Lakeが、クラウド人事・財務管理大手Workdayの買収を視野に入れた協議を進めていると報じられた。買収前の株価に上乗せするプレミアムを織り込んだ場合、取引規模は600億ドル(約9兆円以上)に達するとの観測もある。仮にこの規模で実現すれば、ソフトウェア業界で過去最大級のディールとなる可能性がある。生成AIの急速な普及にともない、株式市場ではソフトウェア企業に「生成AIを織り込んだ新しい成長ストーリー」が求められ、従来型SaaSに対する評価は厳しさを増している。その影響もあり、Workdayの株価は伸び悩みが指摘されていた。そこに投資機会を見いだしたとみられるSilver Lakeの再成長シナリオと、事業運営の現実や企業文化との間には、ギャップが存在するのではないか。その金融ロジックは一見合理的に見えるものの、ソフトウェア企業の価値は財務指標だけでは測れないからだ。AI時代の競争力を支える人材、製品開発の継続性、顧客、パートナーを含むエコシステム、そして「Workday Way」として知られる企業文化を、買収後も損なわずに維持できるのか。本稿では、この大型買収を金融・事業の双方から一考する。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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