楽楽クラウド拡大を支えるラクス内データ分析基盤の真価──管理会計領域から始めるAIとデータの民主化
業務システム部が創るデータ活用の未来――BigQueryからAIエージェント検証まで
IT導入ではなく“業務改善”を行う情シスのミッション
データ基盤やAIを業務に定着させるためには、ツールを導入するだけでなく、データを利用する部門が抱える課題を整理し、データを使って何を判断・改善したいのかを明確にする必要がある。ラクスの業務システム部では、事業部門からデータ抽出の依頼を受けた際、依頼内容に沿ったデータを提供するだけでなく、そのデータを用いて何を達成したいのか、どのような意思決定につなげたいのかを確認し、必要な支援を行っているという。
小林氏は同部の役割について、「単なるIT導入を支援する組織ではなく、業務改善を支援する社内コンサルタントのような立ち位置でありたいと考えています」と話す。目的やゴールを現場と一緒に考えて丁寧に言語化し、その課題を解決する手段としてデータやAIが適切だと判断した場合に、実装と定着の支援へと移ることを意識しているという。データ基盤やAIはあくまで手段であり、目的はビジネスの成果を出すことにあるという考えだ。
また同社では、全社員向けにGoogleのGeminiを提供するほか、業務特性に応じてChatGPT EnterpriseやClaudeなどのLLMも利用できる環境を整備している。RaDAPとこれらのAIを組み合わせ、営業やカスタマーサクセスなど、フロントオフィス領域での活用も検討していると小林氏は話す。
たとえば、過去の問い合わせ履歴や顧客の利用ログを分析し、顧客ごとに提案すべきオプション機能を営業やカスタマーサクセスに示す仕組みなどである。こうした提案の有効性を評価し、その結果を次の改善につなげる考えだ。
「AIを活用した提案が現場で採択されたのか、あるいは却下されたのかという実行結果のログを再びRaDAPへ蓄積し、フィードバックループを回していく仕組みを構築したいと考えています。現場のアクションと結果をデータとして蓄積し、AIエージェントの提案改善につなげていきます。データ基盤を単なる集計の場にとどめず、ビジネスの成果につながる意思決定を支える基盤へと発展させていくことが、私たちの目指す方向です」(小林氏)
ラクスは、定常業務の効率化を起点に、RaDAP上でデータ統合やメタデータ整備、アクセス制御を進めるとともに、現場との協働体制を築いてきた。今後は、RaDAPを営業やカスタマーサクセスの業務、AIを活用した分析・提案にどう展開するかが次のテーマとなる。
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- この記事の著者
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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