システム構成変更時の影響範囲も容易に把握
さらに従来システムでは、「システムを変更した際の影響範囲の調査が大変で、運用負担が大きい」という課題もあった。JP1 V9.1では「JP1/Integrated Management - Universal CMDB AdvancedEdition(以下、JP1/IM - UCMDB)」の投入により、この課題を解決している。
JP1/IM - UCMDBは、ネットワーク上にあるハードウェアやソフトウェアのシステム構成を自動で検出し、可視化する製品である。しかもハードウェアやソフトウェアの構成変更時の影響範囲を事前に把握できるようになるというものだ。
さらに「JP1/Automatic Job Management System 3(以下、JP1/AJS3)」という定型業務をジョブという単位で自動化する製品を使用している場合、「JP1/Integrated Management -Universal CMDB Adapter for JP1/AJS3」を追加すると、ジョブの構成を含む影響範囲まで事前に把握できるようになる。例えば、あるデータベースをバージョンアップするため停止するとしよう。ジョブが依存するDBサーバーとの関連を可視化し、そのDBが停止することで影響を受けるジョブが事前に特定できるというわけだ。これらの機能の強化・拡張により、IT リソースのさらなる効率化が図れる。
利用部門を含めた運用業務の最適化も可能
仮想環境における運用管理業務のさらなる効率化を図るため、JP1 V9.1 では運用管理部門に加え、利用部門をも含めた運用業務の最適化を図るための機能を提供している(図4)。というのもサーバー集約・システム統合により運用管理部門の業務は、効率化された一方で、部門間調整のための負担がなかなか減らないという課題があったからだ。
例えば、ある会社の全社分の売上データは夜間バッチで処理しているため、翌日にならないと結果が出ない。しかし、部門Aの業務担当者は今日中に自部門だけの売上データ集計が欲しかったとしよう。売上データの処理は運用管理者によって管理されているので部門Aの業務担当者から運用管理者に「部門A だけの売上データ集計が欲しい」と連絡せねばならない。さらに、運用管理者も全社分の売上データ処理の中から部門Aだけのデータ処理を取り出して行わなければならず、運用管理者も業務担当者も時間や手間がかかってしまう。このような通常と異なるタイミングで業務を実行するような状況が発生すると、部門間の調整が必要になる。
このような課題を解決するため、JP1 V9.1 では決められた範囲なら、任意のタイミングで業務担当者が業務を実行できるような柔軟な仕組みを取り入れた。利用部門が直接操作できるジョブ操作環境「JP1/Automatic Job Management System3 - User Job Operation(以下、JP1/AJS3 - UJO)」の投入である。運用管理者が各業務担当者に必要な管理権限を付与することで、必要に応じて担当者が業務を実行できるようになるという製品だ。とはいえ業務担当者が運用管理者と同等の知識が求められることはない。JP1/AJS3 - UJO は、業務担当者が親しみやすく、分かりやすい画面を提供している。例えば、メイン画面では実行したい機能が一目で分かるよう、大きなアイコンで構成。各機能画面も、初心者でも扱いやすい作りとなっているのだ。
(次ページへ続く)