今年は、世界中116カ国からの参加者があり、サンフランシスコ市も全面的にこのイベントをバックアップ。道路を封鎖しそこをイベント会場に利用したり、市内の多くのお店ではカンファレンスの参加証を提示するだけで割引が受けられたりするとのこと。アパレルショップとして日本でも人気の高いバナナリパブリックでは、なんと25%もの割引が受けられるそうだ。
初日から舌好調?CEO ラリー・エリソン
イベントの初日である19日の夕方には、早くもCEOのラリー・エリソン氏がキーノートセッションを行った。氏が壇上に上がる前には、2010年2月にアメリカズカップでエリソン氏の念願だった優勝を勝ち取ったBMW ORACLE Racingの活躍を紹介するビデオが流れた。それを受け、エリソン氏は上機嫌でステージに登場したのだった。
上機嫌のエリソン氏は、最初にクラウド・コンピューティングの定義について語った。Salesforce.comのようにインターネット越しにあるサーバーで1つか2つのアプリケーションを動かすのと、Amazon EC2のような拡張性をもったクラウド・プラットホームはまったく異なるもの。Salesforce.comのサービスは、1つのシステムを大勢のユーザーが利用するものであり、これはセキュリティも弱く、耐障害性も低いとこき下ろした。
まったく違うものであるにもかかわらず、どちらも世間ではクラウド・コンピューティングと呼ばれている。このことが、エリソン氏にとっては少し不快感があるらしい。Oracleのクラウド・コンピューティングの定義はAmazonと同様であり、拡張性と耐障害性があるプラットホームであることが重要である。ただ、Amazonとの違いは、プライベート・クラウドもOracleではクラウド・コンピューティングと捉えているところだ。
そして、クラウド・コンピューティングを実現するための、拡張性があり耐障害性が高い製品として発表されたのが、Oracle Exalogic Elastic Cloudだ。これは、昨年発表されたDatabase MachineのOracle Exadataのミドルウェア版。Java、あるいはその他のアプリケーションが高性能で稼働できるハードウェア・アプライアンス製品だ。30台のサーバーに加え、インフィニバンドネットワーク、ストレージが1台のラックに搭載されており、クラウド・コンピューティングに必要な拡張性と信頼性、可用性を持っている。これを使ってパブリック・クラウドの実現もできるし、より信頼性や可用性が求められるプライベート・クラウドにも最適とのこと。
ExalogicではOracle SolarisとOracle Enterprise Linuxの2つが、仮想マシン上で動くゲストOSとして用意されている。どちらかを選んでもいいし、両方を混在させて使うこともできる。ここで利用しているLinuxではOracleが独自に拡張したOracle Unbreakable Enterprise Linuxが採用されているとのこと。Oracleでは従来からRedHat互換のLinuxを提供してきたが、RedHatのカーネルではハードウェア性能を十分に発揮できないと判断。「RedHatのLinuxは4年くらい遅れた技術」とエリソン氏。そのため、最新のLinux技術を採用し、多くのコア数のCPUや広大なメモリ空間、インフィニバンドやストレージI/Oを最適化するための拡張を、Oracleが施した独自カーネルを提供することになったのだ。
このカーネルは、じつは翌日に発表することになっていた新しいExadataにも採用されている。新しいExadataについてはこの日は発表する予定にはなかったにもかかわらず、エリソン氏はそれについて言及してしまったのだった。さらには、あまり技術的に突っ込んだ説明はしないようにとも言われていたにも関わらず、いかに技術的に優れているかについてとうとうと説明するエリソン氏だった。