テラスカイは11月25日(木)、パブリック・クラウドと企業内システム、およびパブリック・クラウド同士のデータ連携を可能にするSaaS型サービス「SkyOnDemand2」の発表を行った。新バージョンでは従来のSalesforceに加えて主要クラウドを新たにサポート。また、コーディング作業なしにユーザーがWebブラウザ上から直接連携の手順を定義するためのユーザーインターフェースが用意された。NTTソフトウェアと共同で2011年2月から提供を開始する。初期費用は60万円、月額使用料は7万円~。
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今回のバージョンアップの目玉の一つが主要クラウドのサポート。Windows Azure、Amazon Web Services、Google Appsまで対応範囲を拡大したことで、これまでメインにサポートしてきたSaleforceを含むクラウド間でのデータ相互連携が可能になった。例えば、Salesforce上にアプリケーションを構築しつつ、データについてはよりストレージ単価が安いAmazon Web Servicesを利用するといったシステム構築が可能になる。リリース時点では比較的要望の多いストレージ関連の機能が提供されるが、各クラウドの機能強化に合わせて対応範囲を段階的に増やしていく予定だ。
また、ツールの利用形態も一新している。前バージョンではデータ連携の方法を定義する「スクリプト」を利用者側で作成することができなかったため、連携の必要が生じるたびにテラスカイ側に作業を依頼する必要があったが、システム変更の柔軟性などの理由からユーザーが自身の手でスクリプトを作成したいと望む声も多かった。そこで、新バージョンではSaaS形式で専用のユーザーインターフェースを用意した。利用者側はテラスカイに一切作業を依頼することなく、Webブラウザ上からドラッグ&ドロップ形式でスクリプトを作成できるようになっている。

その他、新バージョンには同社がクラウド関係のシステム構築で培ったノウハウが盛り込まれているのも特徴だ。例えば、専用のインフラが整備された社内のシステム環境と違って、インターネット環境では比較的頻繁に通信エラーが発生するため、それらを一律に異常として処理するのではなく、単純なものであれば一定間隔を置いて再試行するといった柔軟な対応が必要になる。
SkyOnDemand2では、時間の経過によって解決される可能性のあるものについては、一定間隔ごとに自動的に再試行するよう設計されており、軽微なエラーを回避するための手間を省くように考慮されている。また、同様の取り組みとして、クラウドサービスの計画停止などで通信エラーが発生した場合は、データだけでなくHTTPリクエストのパラメータなど消失しやすい情報を含めて、エラー発生時と同一の形で再試行する仕組みをとった。バージョンアップ実施前にはSalesforceと同様のかたちでパッチ適用済みのテスト用クローン環境を無償提供し、利用者が構築したスクリプトの整合性を確認するための手段も提供する予定だ。
「これまでアプライアンスなどの形でクラウドを含めたデータ連携機能を提供する製品は存在していたが、完全にクラウド上に移行したのはおそらく世界でも例のない試み。市場のニーズを見極めながら、利用拡大を図っていきたい」と代表取締役社長 佐藤秀哉氏は意気込みを語った。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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