企業におけるデータ活用を加速させる「エンタープライズ・データウェアハウス」
―こうした新たなデータ活用法のニーズに対して、テラデータではどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。
テラデータでは、「EDW(エンタープライズ・データウェアハウス)」というコンセプトを提唱しています。これは、企業の中でバラバラに散在しているデータを1つに統合して、それを企業のトップ層から現場の方々まで、皆で同じデータを活用しようというものです。従来は社内の各部門ごとに、部分最適化されたデータマートを導入しているケースが多かったかと思います。ある企業では、社内に1000以上のデータマートが存在しているそうです。
しかし、そうしたデータの持ち方では、データの内容は重複しますし、データの整合性にも問題が出てきます。また、データに対するセキュリティやガバナンスを確保するのも困難になります。さらには、部分最適のデータマートは一般的に稼働率が低く、また多くのデータマートを運用するための手間も掛かるため、無駄なコストが発生してしまいます。これら散在するデータマートをEDW に統合することで、効率的にシステムを運用できるようになりますし、セキュリティやガバナンスも一元的に管理できるようになります。
―EDWを実現することによって、ビジネス面では具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
小売業での例を挙げれば、それまで商品と顧客のデータをそれぞれ別の部門で個別のデータマートを使って分析していたのを、EDWにデータを一元化することによって、「どういう顧客が、どういう商品を購入しているか」という観点で分析できるようになります。
これによって、以前は見えなかった商品と顧客の間の様々な相関関係を知ることができ、その結果を販売戦略に迅速に反映できるようになります。これはごく簡単な例でしかありませんが、こうしてデータを統合し、従来はまったく別のものだった分析領域を重ね合わせることによって、今までは見えなかったものが見えてくるようになるわけです。
―なるほど。では、そのようなEDW の仕組みを実現するために、システムにはどのような要件が求められるのでしょうか。
EDW のコンセプトは極めてシンプルですが、実際には「言うは易く行うは難し」です。EDWを実現するためには、様々なシステム要件をバランス良く満たす必要があります。まず、従来のDWHやデータマートと比べると、データ容量が大きくなり、ユーザー数も大幅に増えますから、それに対応できるだけの高いパフォーマンスが必要になります。また、入ってくるクエリの種類も、単純なものから複雑なものまで、多種多様に渡ります。これを「ミックスワークロード」とわれわれは呼んでいますが、そういう色んな種類のクエリを適切に判断・処理するための機能も必要になります。
そのほかにも様々な要件が必要になりますが、1つの要件だけが突出して優れていても、ほかの要件が劣っていては意味がありません。すべてをバランス良くサポートできないと、EDWの環境は構築できません。その点テラデータの製品は、これらすべてをシステム全体としてバランス良くサポートできるのが特徴になっています。(次ページへ続く)
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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