囲い込みは何がいけないのか考える
そのプライベートクラウドの環境を実現するためのOracleの答えの1つが、Oracle ExadataとExalogicと言うことになる。クラウド時代になり、企業なりが扱うデータ量は爆発的に増えている。これに対し、ハードウェアの進化はどうなっているかと言うと、CPU性能は大きく伸びているがハードディスク装置の性能はそれほど大きく進化していない。「頭でっかち尻つぼみの状態。これで迷惑しているのがデータベース」と三澤氏は言う。
大規模なデータを扱うシステムの多くで、性能のボトルネックとなるのがディスクI/O部分。ディスク装置側にソフトウェアによる最適化された性能向上機能を内包することで、このボトルネックを解消させたのがOracle Exadata Database Machineの中核をなすOracle Exadata Storage Serverだ。現状のいびつなハードウェアアーキテクチャを、ハードウェアとソフトウェアを1つにして提供することでもとに戻したものとのことだ。
さらに余裕のあるCPU性能を活かし、暗号化機能もOracleではチップに内蔵する。Oracleでは、ハードウェアとソフトウェアを1つにした、新たな製品を次々と生み出している。「ハードウェアとソフトウェアがもっと一体化すれば、さらによいものが提供できるようになる」と三澤氏。むろん、この一連のOracleの戦略を、Oracleによる囲い込みだと指摘する人もいるだろう。
「囲い込みならばもっと価格を高くするはず。ハードウェアとソフトウェアの一体化は、今後のコンピュータの、正当な発展の方向の1つ。Exadataを1つの製品として捉えるだけでなく、新しい技術として見て欲しい。 そして、そもそも囲い込みの何がダメだったのかを、今一度考えてみてほしい」(三澤氏)
確かに、冷静に考えてみれば、パブリッククラウドはたしかに究極の囲い込み環境と言えるだろう。囲い込みをしているからこそ、大規模データ、大規模ユーザーに対しても、低コストで手間の少ない運用が可能になるわけでもあるのだ。囲い込みの何がいけないのかを十分に考えた上で、自分たちが利用するシステムの技術をどうすればいいかを選択する。クラウド時代には、これもユーザー側にとって必要なスキルなのかもしれない。
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今回のインタビュー中、三澤氏が、DBAの地位向上、そしてキャリアとしての高い評価について何度も触れていたのが印象的だった。本来のDBA業務の範囲で、適切な判断ができる技術者がもっと増えて欲しいとのこと。日本においてはDBAという位置づけをはっきりさせ確立することで、多くのシステムのトラブルは回避できるはずだとも言う。そして、Oracleとして、そのための情報提供や教育の場を設けるなどの活動を、改めて積極的に行うとのことだ。