災害時に真価を発揮したモバイルワーク
災害直後は東京でも震度5 強を記録し、千葉や埼玉では震度6 弱を記録した。そのため老朽化したビル等では、建物の一部に亀裂が入り、社員の自宅近辺に液状化の影響が出るなどの被害が発生し、安全面、交通面、節電の観点から、一時的に在宅勤務を命じる企業が数多く登場した。この時大いに活躍したのが、モバイルとクラウドだ(図1)。
特に有効性を認められたのが、ソーシャルメディアを活用した安否確認だった。大規模災害時には、携帯電話は公的機関等のライフラインに関わる通信を優先するため「通信規制」が実施される。そのため一般家庭の電話や個人の携帯電話は繋がりにくくなり、メールの送受信も遅れがちになった。そんな時、「通信規制」の対象にならないTwitterやFacebookを利用して社員の安否確認を行った企業も多く現れた。実際、今年に入ってから、TwitterやMixiの利用者数は減少傾向にあったが、震災以降、各々2割以上増加している(図2)。
また、交通機関が麻痺し、自宅まで徒歩での帰宅を余儀無くすることになった人々にとって、スマートフォンによるナビゲーションは心強い存在となったようだ。単なるコスト削減から、BCPとして重要性が増したクラウド 「所有から共有へ」を合言葉にクラウドというキーワードが浸透したが、そのニーズの大半はコスト削減を目的としたものだった。しかし、今回の大震災を契機にコスト削減以外の以下の部分が改めて重要視されるようになっている。
- データ消失リスクへの対応
- 計画停電への対応
- 天災対策への対応
- 予測不可能なアクセス増への対応
従来からもクラウドの利点として挙げられていたものだが、コスト削減以外のクラウドを再評価する機運が高まっている。(次ページへ続く)