どこまで浸透する?Windows Phone 7.5
樋口社長は2012会計年度のスタートである7月に経営戦略発表会を行い、今年度の注力分野として「デバイス/コンシューマー」「クラウド」「ソリューション」の3つを挙げている。すでに2012年度がスタートして2カ月が経過するが、引き続きこの3つに力を入れていくことを国内パートナーの前であらためて強調した。
この2カ月に限って言えば、3つの注力分野のなかでもデバイス/コンシューマー分野、とくにモバイルデバイスに関しての積極的な動きが目立つ。
世界で初のWindows Phone 7.5搭載機「IS12T」のリリース、Windows OSを搭載したスレートPCの販売体制強化など、樋口社長が自ら「この分野は我々はチャレンジャー。だからこそ積極的に攻めていきたい」とする言葉の通り、あえて強気の戦略を取っている印象を受ける。同社は今年度よりデバイス/コンシューマ部門の組織編成を大きく変更しており、パートナーに対しても専門知識をより深めてもらうべく支援体制を強化している。
モバイルビジネスでの成功のカギを握るのは、やはりWindows Phone 7.5が今後どこまで浸透していくかだろう。競合のApple/iOSやAndroid陣営がもつシェアにWindows Phoneが近づくには、独自のUIや機能に加え、法人需要の掘り起こしが重要になる。樋口社長は基調講演で「企業向けの携帯電話ならWindows Phoneしか考えられないのではないか」と強調するが、たしかにOfficeやその他のWindows資産との親和性がこれほど高いデバイスはない。問題はその特徴が、法人ユーザにどこまで魅力に映るかだ。
また、樋口社長は「コアとなるアプリケーションがすでに70ほど存在する」としているが、開発環境やアプリマーケットに関しては、iOS/Androidに比べると充実しているとは言い難い。今後、短い期間でこれらをどこまで整備できるか、手腕が問われることになる。.NETなどパートナーのもつエンジニアスキルをそのまま活かせるというメリットが、どこまでWindows Phone 7.5のアプリケーション開発の活性化につながるか、注目したい。