SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

BigData時代を乗り切るストレージ

ビッグデータの戦略的活用に向けたIBMのストレージ革新


IBMはビッグデータを分析することで、顧客の経営課題に対して即断・即決する材料が提供できると考えている。これはIBMのコーポレートビジョンである"Smarter Planet"に基づいたシステム提案のひとつのアプローチであり、ストレージ製品を例として顧客の課題解決に向けた技術を紹介する。

ビッグデータの課題とIBMの取り組み

 近年あらゆる情報が電子化され大容量化し、更新の速度が飛躍的に上昇している中で、大量の情報を瞬時に分析し経営判断を下す必要性が高まっている。顧客データや販売データなどの大量の情報の蓄積は、それらを分析することで得られる知見から新たなビジネスを創出するための宝の山であると認識されている。しかし効果が不明瞭であるがゆえに、分析に必要なシステム・リソース、分析のためのデータ加工、膨大な処理時間などへの投資判断を困難としている。

 IBMでは、情報を単純に蓄積するだけでなく、最適な経営判断を下すための知見・洞察を得て、同時にITインフラの非効率性の解消、新サービスの迅速な提供を可能にするための新しいビジョン“Smarter Computing”を掲げている。このビジョンを支える柱の1つ“ワークロード最適化”は、システムの仮想化をベースに、従来の販売・物流・人事など業務ごとに分割していたシステムの重複する資源を統合する。そして、業務共通でデータベース処理は高速DBを持つシステム、データマイニングは高速プロセッサを持つシステムへ、異機種混合環境をあたかもひとつのシステムとし、業務で必要なワークロードごとに適切なリソースを割り振ることで最適化・効率化を進める新しい統合のアーキテクチャーである。処理の共通化によって従来のシステムでは実装されていなかった処理が組み込めるようになる利点も持つ。

IBMのストレージ革新と3つのアプローチ

 こうした新たな統合環境のために、IBMはストレージの分野でも“Smarter Computing” としての技術革新を進めている。ストレージ製品を構成する汎用部品の進化だけに任せるのではなく、それらをより効率的・効果的に利用する独自の技術開発と、サーバー群との連携で全体最適化を可能としている点がIBMストレージの強みであり、以下の3つのアプローチがその代表である。

1. データの適切な配置

 これは階層型ストレージや単一階層のティアレス型ストレージによって実現される。階層型ストレージとしてIBMでは従来より、Hierarchical Storage Management(HSM)という複数のディスクやテープ間でライフサイクルに基づきデータを配置する機能を提供している。バックアップ・ソフトウェアとして知られているTivoli Storage Manager(TSM)がこの機能を提供しており、1台のTSMサーバーで最大20億個のファイルを統合的に管理することができる。

 昨今求められている大容量ファイル・データの高速化に関し、IBMでは高速科学技術計算システムで培ってきたGPFS技術をハードウェアに組み込み、大量のファイルを一元管理するためのストレージとして、Scale-out Network AttachedStorage(SONAS)を提供している。

 処理エンジンは容易に30ノードまでのスケールアウトが可能で、最大で14.4PBもの大容量データ領域を提供する。1ファイルシステムで最大2PB、10 億ものファイルを保管することができるのに加え、1ノードあたり1分間で1000万ものファイルを検索できる高いパフォーマンスも提供する。またGPFS自身の階層管理機能と前述のTSMを連携させることで、NASでありながらテープへの階層管理も可能としている。

 また、ブロック・アクセス用途のストレージ装置であるDS8000やSAN Volume Controller(SVC)、Storwize V7000 では、自動階層管理を実現するEasy Tier 機能を利用することができる。HDDとより高速なSSDを組み合わせ、アクセスの高速化が必要なデータのみを自動的に分析してユーザーから透過的にSSDに配置する(図1)。この機能で全体のわずか2%のアクセス頻度の高いデータをSSDに配置するだけで最大3倍のパフォーマンス向上効果が得られた実例を持つ。併せてDS8000のI/O Priority Manager機能により重要度の高い業務に対して優先的に処理能力を配分することによって、システム統合を効率的に進めることができる。

図1:少ない投資で高速なSSD を活用できるEasy Tier(自動ILM 機能)

 次に、ティアレス型ストレージであるXIVは従来のRAID という概念を取り払い、搭載されるディスク・モジュール全体をグリッド化して負荷をディスク全体に分散させ、I/O効率を高めている。さらにQuality of Service(QoS)機能によりサーバーごとにI/Oパフォーマンスの制御機能を備えることで、ストレージ統合によるアクセス競合のリスクを軽減している。

次のページ
まとめ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
BigData時代を乗り切るストレージ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

櫻田 昌己(サクラダ マサキ)

日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス サーティファイドITスペシャリストハイエンド・ディスク・グループのアドバンスド・テクニカル・サポート・グループリーダーとしてIBM大型ディスク製品に関するIBM内外のエンジニアの支援活動を実施。1997...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

今井 慶太郎(イマイ ケイタロウ)

日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス アドバイザリーITスペシャリストミッドレンジ・ストレージ・グループのアドバンスド・テクニカル・サポート・グループリーダーとしてIBM中型ディスク、テープ、バックアップ/アーカイブソリューションに関するI...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3465 2011/10/27 18:41

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング