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「DBベンダーの言う<何でもできる>アプライアンスに騙されるな」IBM ネティーザ 担当者が語る

ネティーザ(以後Netezza)といえば、データウェアハウス(DWH)アプライアンス分野では草分けともいえる存在。最近では、オラクルをはじめとするメガベンダーが相次いで一体型アプライアンスを投入しているが、IBMの買収によって、今後の動向にますます注目が集まる。そのIBMのNetezza担当者が、「昨今のアプライアンスブームはベンダーの思惑」とばっさりと切り捨てる。その真意を聞いた。

ベンダーの言うことを鵜呑みにするな

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業
インフォメーション・マネージメント
BigData/DWH/Netezza Technical Sales 部長
原沢 滋
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネージメント BigData/DWH/Netezza Technical Sales 部長 原沢 滋

 「現状は、アプライアンスという言葉に多くのユーザーが惑わされていると思います。」日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インフォメーション・マネージメント BigData/DWH/Netezza Technical Sales 部長の原沢 滋氏は、まだまだアプライアンスの本質が理解されていないと言う。

 アプライアンスは家電のように、誰にでもすぐに使えるべきもの。家事全般が出来て「なんでも解決出来るロボット」のような家電は空想の中にしか存在しない。真にアプライアンスと呼べるものは、しっかりしたコンセプトを持った特化型の製品であるべきというのが原沢氏の主張である。「現在、代表的なDBベンダーがアプライアンスという位置づけで幻想を振りまいている。ベンダーに騙されてはいけない」と原沢氏は語る。

 「システムはベンダーのためにあるのではなく、ユーザーのためにあるものです。システムを活用して結果を出し、ビジネスへ貢献することこそがその目的のはずです」と原沢氏。これを理解せずに、流行のバズワードにのったシステムや技術に無闇に手を出すべきではない。新技術の検討に執心するあまり、このビジネスへ貢献するという目的が、ややもするとなおざりにされてしまう事を原沢氏は憂いている。IBMというベンダーの立場にありながら、敢えて「ベンダーの言うことを鵜呑みにするな」と言うのだ。

 DWHアプライアンスは、いままでは難しかった大量データの分析がテクノロジー的に容易になっただけだと原沢氏は言い切る。DWHという膨大なデータを処理するのに、なんでも出来ますというロボットが存在しないのと同じで、大量のデータを処理するにはそれ専用のシステムが必要。たとえば「DWH製品の中にはOLTPのエンジンをチューニングし、それでデータウェアハウスもできますよ、というDBマシンもあります。もちろんこれが、ユーザーニーズに適合する場合もあるでしょう。しかし、1つのエンジンですべてに対応しようとすると、適切な性能を得るためにチューニングで対応することになり、どうしても高い運用コストがかかってしまいます。目的に合わせ、特化した機能、性能を適切に選んだほうが効率的な場合が多いのです」と原沢氏は言う。どんな大量データをどう処理したいかに応じて、それに適切な手法を選ぶべきだ。

自らの手で検証する手間を惜しむな

 ベンダーはどうしても、自社製品やサービスだけを提案することになる。他によいソリューションがあると分かっていても、それが他社のものであれば担当者は薦めにくいのが実情だろう。特に会社の方針がそうであれば、ベンダーの営業は多少目的からずれていたとしてもそれを強力に推奨してしまうかもしれない。これは、ベンダーの立場からすれば、「至極当たり前」のことでもある。

 そうであっても「ベンダーはもっともっと、ユーザーを見て提案するべきです。最近のマーケットにおいては、適正ではない製品をお客様の事を本当に考えずに、会社の方針だけに従って推奨するベンダーが見受けられるのではないでしょうか」と原沢氏は言う。これは、データウェアハウスアプライアンス製品を顧客に強力に薦める立場にある原沢氏にとっては、自らのマーケティング戦略や活動を否定することになりはしないのだろうか。

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業 マーケティング
Netezza マーケティング部長 湯本敏久
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネージメント Netezza マーケティング部長 湯本敏久

 「Netezzaが顧客の目的に合っていなければ薦めません。顧客からの提案要求を、断ることもあります。Netezzaはあらゆる業務処理を平均点でこなすシステムではなく、DWH処理で最高点を取るために開発された製品です。その最高点を顧客のビジネス結果においても達成いただくには、顧客やユーザーのニーズ・目的がNetezzaに合致するかどうかを見極める必要があります」と Netezzaのマーケティング部長 湯本敏久氏は言う。実際、数年前に数十GB程度のデータ量の分析要求を持っていた顧客の提案依頼を、Netezzaではオーバースペックになってしまうと断ったとのこと。ところがその顧客は、自らさまざまな製品のアーキテクチャや処理の仕組みを調べ、Netezzaであれば自分たちのやりたいことが実現できるはずだと、繰り返しアプローチをしてきたのだ。

 結果的には、改めてやりたい内容を詳細に聞き、実際と同様なデータを用いベンチマークを行うことに。この顧客のデータ量は確かに数十GB程度しかなかった。しかし、やりたかった分析処理のためには、かなり複雑なSQL処理が必要だったのだ。結果は、他社製品ではなかなか達成できなかった高い処理性能を発揮した。もちろんこの顧客は、Netezzaの導入を決めた。

 場合によっては顧客からの提案依頼を断ってしまう。こんなことは、社内で許されるのだろうか。「顧客のことを真剣に考えた上でのことだと、きちんと説明すれば社内でも理解は得られます」と原沢氏。そして彼もまた、製品の機能、性能の比較を行うための○×表には否定的だ。「求められても、基本的には○×表は出しません」とのこと。ベンダーが作るような○×表で比べても意味はない。何をしたいのかその目的に合うのはどの製品かを、ユーザー主体で選ぶべきだと言う。

 そして、ユーザーが主体的に選択できるようにするために推奨しているのがPOCだとのこと。POCは、”Proof Of Concept”の略で、日本語では「概念実証」や「実機検証」と言われる。ITの世界では、新製品が発表される前などに、ユーザー企業やパートナー企業などが主役となり、実システムと同じような環境を準備して詳細な製品機能や性能の検証を行うプロジェクトをもっぱらPOCと呼んでいる。

 「Netezzaでは当初より、顧客に製品導入前のPOCを推奨しています。○×表での評価やTPCベンチマークの結果などは、実際の顧客が求めているシステムと合わないことがほとんどです。だからこそ、顧客の持っている実データを用い、顧客が自分たちの目的を果たせるかどうかを、自らの手で検証し、納得いただくのが一番だと考えています。そのためのサポートを最大限に行っています」(湯本氏)

Netezzaは顧客の目的に合致したときだけ提案する

 POCの結果、Netezzaが適当ではないと判断されることもあるだろう。それが、顧客が主体的に行動し、考え至った結論であればもちろん尊重する。逆に言えば、どういう要求の際にNetezzaがもっとも効果的であり、最高の性能を発揮できるかは、原沢氏らは十分に分かっている。顧客の目的に合うのであれば、間違いなくNetezzaを選んで頂けるよう最大限の支援を行い、最高の検証結果が得られるようにする。その自信があるからこそ、原沢氏は○×表ではなく、常にPOCを薦めるのだ。

  「Netezzaは、とにかく顧客の目的に合ったところで提案するようにしています。それを徹底するためには、社内であろうとも戦うことがあります」と原沢氏。顧客が自分たちの目的に合った製品を探すためには、ベンダーから得られる情報は重要だ。とはいえ、ベンダーにはベンダーの都合があり、都合が悪いことは顧客に伝えないかもしれない。そんなことがあることも理解した上で、製品を選ぶ賢い選択眼を持つべきだ。とくに、いまはビッグデータという新しい言葉に踊らされることなく、自社ビジネスを拡大するのに本当に有効なものは何なのか見極める。そのサポートをしてくれる適切なパートナーを見極めるのもまた、顧客に求められる重要なスキルなのかもしれない。

本記事に関連するIBMのセミナー

 『ビッグデータに適切に対処するためのソフトウェア・テクノロジーとは』

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  ―リアルタイム分析のためのストリーミング・テクノロジー―

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  2012年9月5日(水)、9月19日(水)(2回とも同様のセミナー)

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