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ステージゲート法による革新的な製品を生み出すイノベーションマネジメント

「顧客の声」を聞くことの“弊害”-不確実性を前提とした「自社・市場レゾナンス」

(第4回)

ステージゲート法は、不確実性を適正にマネジメントする手法ということができ、その点からステージゲート法には、様々な特徴があります。今回は前回に引き続き、ステージゲート法の特徴について議論をしますが、まずはステージゲート法の不確実性に対応する全体フレームワークを提示したます。そのフレームワークを前提としたいくつかの特徴のうち、「積極的な市場との対話」について紹介したいと思います。(連載の記事まとめは、こちら)。

ステージゲート法は三段階で不確実性に対応する

 第二回の記事で紹介したステージゲート法の本質の一つで、ステージゲート法は「不確実性をマネジメントするもの」というお話をしました。21世紀に入り、革新的な製品のプロジェクトの割合が低下しております。右肩上がりの成長期には、わかりやすい事業機会が存在していましたが、成熟した低成長の経済環境下では、そのような機会は減少します。したがって、そのような環境下で革新的な製品を創出するには、過去の延長線上ではない“将来”に対して、不確実性を上手にマネジメントする必要があるという議論をしました。いうなれば、「革新性と不確実性はコインの裏表の関係」にあるということです。

 このような将来の姿がはっきりと見えない現在の事業環境下で、ステージゲート法では、不確実性に対して、三段階で対処をします。

 1.不確実性を極力低減するまず、不確実性を極力低減するような活動を徹底して行います。

 2.不確実性を所与として対処する-不確実性を完全に払拭することはできないので、前提として組み込み、発生する“リスク”を極力低減するような手段を講じる。

 3.不確実性に起因する判断の誤りを所与とする-リスクもまた、完全には払拭をすることはできないので、誤った判断をすることも前提に、プロセスにリスクへの対処方法を組み込む。

図1:ステージゲート法における不確実性への対処の方法  
 

 今後、この連載の中では、ステージゲート法の中で不確実性への対処の面から、その特徴を図1の3つの対処法の順に紹介していきたいと思います。

次のページ
「積極的な市場との対話」で不確実性を低減する-「自社・市場レゾナンス」

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この記事の著者

浪江 一公(ナミエ カズキミ)

ベクター・コンサルティング株式会社 代表取締役社長大手電機メーカー勤務の後、アーサー・D・リトル(ジャパン)(株)、(株)フュージョンアンドイノベーション等を経て、現職。テクノロジーマネジメント、事業戦略、マーケティング戦略の分野で20年以上のコンサルティング経験を持つ。日本工業大学大学院技術経営研究科客員教授(兼任)。北海道大学工学部、米国コーネル大学経営学大学院(MBA)卒【主な著書・訳書】「ステージゲート法 製造業のためのイノベーションマネジメント」(英治出版)(訳...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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