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組織的なイノベーション、道具としてのデザイン思考

イノベーションを妨げる「3つの壁」、打ち壊すための「デザイン思考」

(第6回) 

今回は、イノベーション実践の際に乗り越えるべき3つの壁、「認識」「不確実性」「文化」を紹介する。前回の記事で紹介した、知識結合をスムーズに行うには、今回紹介する壁をすべて打ち壊し、学習プロセスを組織に内在化させる必要がある。壁を壊すための手がかりとなる、「多様性」「小規模実験」「チームビルディング」についてもそれぞれ解説を加える。今までの連載はこちら。

イノベーション実践における3つの壁

 イノベーションを起こすには、3つの壁を乗り越える必要がある。それぞれの概要を紹介し、どう解決すべきかを順に紹介したい。

(1) 機会を見落とす「認識の壁」

 三回目の記事で紹介したように、社会変化を認識して機会を見出すことで、イノベーションの可能性を高めることができる。しかし、重要な変化を「私たちの事業とは関係がない」「取るに足らない」と考えてしまい、機会を逃すことがある。5年以上に渡って同質的な集団に所属していると、視野が狭くなる傾向にある。結果的に、集団の外にある知識やアイデアの価値を低く見積もるという傾向が組織に根付いてしまう。

(2) 意思決定を先送りする「不確実性の壁」

 機会を認識した次に障害となるのは、「不確実性」だ。新しい市場が生まれる可能性があったとしても、そこに資源を投資することには不確実性が伴う。失敗すれば、まったく芽が出ずに貴重な資源を失うことになりかねない。イノベーションのジレンマに代表されるように、既存事業が安定した収益を出している場合において、不確実性の壁が顕著に表れる。

 「リターンが不明確な状態で新しいことに投資するよりは、安定的に収益を生み出している既存事業に投資をした方がいい」という“合理的”な判断にもつながる。可能性を感じてはいるが、意思決定は先送りされ、何も実行されないことになる。

(3) 繰り返しの挑戦を阻害する「文化の壁」

 「機会の認識」と「意思決定」が実現されたとしても、一度で全てうまくいくことは滅多にない。失敗を前提に認識を修正しながら、再度リスクをとって行動する必要がある。ジョブズのような人材が組織にいれば、直観で機会を捉え、大胆に意思決定で成功をつかめるかもしれない。しかし、そのようなことは稀だ。失敗から新しいことを学び、何度も繰り返し挑戦する中で「イノベーションの芽を育てようとする文化」が必要となる。

 認識、リスク、文化における壁を全て乗り越えることで、初めて組織にイノベーションのプロセスを内在化させることが可能になる。では、どうすれば3つの壁を超えられるのだろうか。1つずつ見ていきたい。

次のページ
「認識の壁」を壊すために重要な「多様性の確保」

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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