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国家戦略としてのイノベーションを多様な論客が語る~第4回トポス会議レポート:前編

「第4回トポス会議『日本のイノベーションのパラダイムシフト』」レポート:前編


2013年10月2日、六本木ヒルズ森タワー・アカデミーヒルズ内ホールにて「第4回トポス会議」が開催された。トポス会議は、研究組織「ワールド・ワイズ・ウェブ・イニシアティブ」(略称w3i)が、産業人や研究者らを集め、世界の様々な課題を「世界の賢者と考える」場(トポスはギリシャ語で場の意)としてシリーズ開催している会議。今回は「日本のイノベーションのパラダイムシフト」と題し、w3iの発起人の1人で多摩大学大学院教授の紺野登氏がモデレーターを務め、学術、ビジネス、行政に携わるパネリストたちが日本に求められる新しいイノベーション・システム、日本にふさわしいイノベーション戦略などを議論した。本レポートでは3セッションのうちトポス1「国家戦略としてのイノベーション」についてお伝えする。

「イノベーション経済」時代の国家の役割変化とは?

紺野登
紺野登氏(多摩大学大学院教授)

 「国家戦略としてのイノベーション」と題する最初のセッション「トポス1」では、モデレーターとして紺野登氏(多摩大学大学院教授)、パネリストとして、國井秀子氏(芝浦工業大学教授、元リコー常務執行役員)、安藤国威氏(ソニー生命保険株式会社名誉会長、元ソニー株式会社社長)、住田孝之氏(経済産業省 資源エネルギー庁 資源燃料部長)、伊藤正裕氏(株式会社ヤッパ代表取締役会長)の4人が参加した(紹介は発言順)。

 紺野氏は冒頭で、「イノベーションが科学技術主導からより広く社会を巻き込むかたちへと大きく変わっている現在、そのなかでの国家の役割も変化している」と指摘。国際機関の世界銀行がソーシャル・イノベーションのような考え方はこれからの経済成長に欠かせないと主張していることにも触れ、グローバルな視野を持ちつつ、日本はどうイノベーションを考え、総合的な取り組みを実践していくべきなのかを議論していきたいと述べた。

危機意識を持って社会システムの変革とルールづくりへ〜芝浦工業大学教授 國井氏

 まず、國井氏は次のように問題提起した。

イノベーション・エコシステムの構築が必要

國井秀子
國井秀子氏(芝浦工業大学教授、元リコー常務執行役員)

 豊かな生活のあり方が、モノの所有からサービスの利用へと変化するなか、企業もクラウドコンピューティングの提供など、サービス化の方向へ進んでいる。今後の課題は、こうした「サービスの共有化のアーキテクチャーをどう構築するか」ということだ。どういう社会を作るのかというビジョンが必要で、そのためのシステム設計、ルールづくりが重要となる。

 また、世界経済は危機が起きやすい環境にあり、地球の持続可能性の危うさも全世界の国々で認識されているのに対し、日本はまだ危機意識が甘いと感じる。全体としての課題はあるはずだと何となくはわかっているが、縦割りの弊害で変革へのアクションがとれていない点が日本の大きな問題と考える。

 これからのイノベーションには、技術革新や研究開発と並行してその他の各分野でも同時に変革が起こり、お互いにフィードバックして連携する仕組みが必要である。それを効率的に行うためには、「オープンな社会エコシステムの構築」が重要だと考えている。そのなかでの大きな課題の1つが人材育成である。日本では女性や起業家の活躍がまだ少なく、人材の多様性に乏しい。また、管理主義を脱して、全体を見つつも自主性、自律性ある行動がとれる人材を育成しなければならない。つまり、ひいては文化を変えていかなければイノベーションは起こせないだろう。

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イノベーションが出せなくなった大企業の問題〜ソニー 安藤氏

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この記事の著者

有須 晶子(アリス ショウコ)

上智大学外国語学部英語学科卒業。翻訳会社、編集プロダクション勤務を経て、現在はフリーランスの編集者・翻訳者・ライター。

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5164 2013/10/18 13:36

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