Oracle DatabaseなどのプロプライエタリからオープンソースRDBMSへ移行する最大のメリットはそのコスト削減効果にあるといわれる。だが、事前の知識がない状態でむやみに移行を進めれば、かえってコストが高くつき、プロジェクトそのものが失敗に陥ることも十分にあり得る。オープンソースRDBMS本来の良さを十分に引き出すにはどのような移行プロセスをたどるべきなのか。本稿では11月8日に都内で行われた「PostgreSQLユーザカンファレンス2013(主催: 日本PostgreSQLユーザ会)」のアシスト データベース技術本部 徳原茂之氏による基調講演の内容から、Oracle DatabaseとPostgreSQLの併用および移行について、そのポイントを見ていきたい。
全面リプレースではなく併用がトレンド
アシストはOracle Databaseに関しては1987年から、PostgreSQLは2009年からサポートを開始しており、MySQL、MariaDBといったオープンソースRDBMSに関しても、国内随一のサポート実績とノウハウをもつことで知られる。
ここ数年、同社で扱うデータベースプロダクトの動向について徳原氏は「Oracle Databaseの採用件数にはあまり変化が見られない一方で、オープンソースRDBMSは毎年、倍増する勢いで伸びている。とくにPostgreSQLの伸び率は高く、2012年度は売上比率で250%増という驚異的な成長を遂げた」と説明する。
Oracle Databaseの採用件数が変わらないのにPostgreSQLなどが伸びている理由について徳原氏は「Oracleと併用する形でオープンソースRDBMSを導入するケースが増えている」と指摘する。つまり、すべてをPostgrSQLなどオープンソースに置き換えるのではなく、アプリケーションの改修や移行後の運用なども含めた最終的な移行コストを考慮し、スモールスタートや部分的なリプレースを図る企業が増えているというのだ。急激な環境の変化が、開発者や運用担当者に大きな負荷をもたらすケースが多いことを考えれば、自然な流れともいえるかもしれない。