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週刊DBオンライン 谷川耕一

クラウドサービスベンダーでトップを突っ走るAmazon Web Servicesのあらたな動き

 相変わらずIT業界は、秋のイベント満載期間が続いている。12月の初旬くらいまでは、この状況は続くだろう。ベンダーやSI会社などは、これらイベントをきっかけに今期中のビジネス成立のための最後の追い込みと、来期の予算獲得に奔走することになるのだろう。そんなことを考えていると、ああ今年も残り少なくなったなぁと実感することになる。

Amazon Redshiftがセキュリティや監査などの機能を更新

 そんなITベンダーの思惑に便乗するがため、今週はSalesforce.comのイベント「Dreamforce 2013」に参加すべく再び米国サンフランシスコへ来ている。先日東京で行われた同社のイベント「Customer Company Tour Tokyo」では、ほとんど新サービスや新機能の説明はされず、ちょっと物足りなかった感もあった。とはいえ、詳細は明かされなかったが、プラットフォームに改めて注力するというメッセージもあり、DB Online的にはそのあたりのニュースに注目したいと思っている。

 さて、先週の話題といえば、Amazon Web Servicesの新たな動きだろう。米国ラスベガスで「AWS re:Invent 2013」が開催されたこともあり、それに合わせいくつか興味深い発表があったのだ。その1つが、Amazon Redshiftの機能アップデート。性能面の強化、データロード機能の追加が発表され、暗号化、監査機能についても更新が行われた。その他にも、自動的にリージョン間でスナップショットのコピーをとる機能も追加される。こちらは、コピー先のリージョンと保持期間を設定するだけで、あとはRedshiftがすべてを自動で管理してくれるようだ。

 こういった運用面、管理面での機能強化は、エンタープライズ用途をかなり意識したものだろう。高い性能、それを低コストで提供するのは、たしかにクラウドの世界で先行するAmazon Web Servicesの大きな魅力ではある。しかしながら、それだけでは企業の採用基準には合格しない。信頼性やセキュリティ、そして今回追加された監査などにどのように対応できるのか。そういった面の充実がなければ、大手企業などでは本格的な採用にはなかなか至らない。逆にこのあたりが機能するようになれば、スタートアップ企業や中堅、中小企業だけでなく、採用は大手企業への本格的に拡大するだろう。

 先日記事でも紹介したIBM BLU Acceleration for Cloudなどは、管理性や信頼性などのところでAmazonのサービスとは差別化しようとしている。後発のレガシーベンダーであるIBMやOracleなどは、既存のオンプレミスで培ってきた実績、信頼性をどこまでクラウドに展開できるかが鍵となりそうだ。それができれば、早い段階でキャッチアップできる可能性もあるだろう。ここに来てクラウド上のデータベースサービスのプレイヤーが増え、性能や機能の争いから管理性や運用性、セキュリティなどの争いへと変化を見せるのかもしれない。

Amazon RDSには新たにPostgreSQLが追加される

 もう1つ大きな話題が、Amazon Relational Database Service(RDS)にPostgreSQLが加えられたことだ。これまで、Amazon Web Servicesでは、リレーショナルデータベースのDBaaSとして2009年にMySQLを、2011年にはOracle Databaseを、そして2012年にはMicrosoft SQL Serverを提供してきた。今回そこに、新たにPostgreSQLが加わったというわけだ。

 この数年間で、Amazon RDSには、PotsgreSQLサポートのリクエストが数百以上あったそうで、今回の対応はそれに応えるもの。MySQLがOracleの傘下に入って以降、市場でのPostgreSQLへの関心が高まっているのは確かだろう。PostgreSQLの場合は、それ単独のデータベースとしてだけでなく、Pivotal Greenplum DatabaseやAmazon Redshiftなどのベースにもなっており、知らぬ間にPostgreSQLを利用している状況もある。国産では富士通が、同社の商用データベースであるSymfowareとPostgreSQLを融合させることで、オープンソースと商用の相乗効果を狙った製品戦略もとっている。このような商用製品との融合は、純粋にコミュニティベースのオープンソースソフトウェアのほうがやりやすい側面があるのだろう。

 今回のAmazon RDSでのPostgreSQLの追加は、PostgreSQLの普及を推進している人たちにとってはかなりの追い風となるだろう。とはいえ、これでいきなりPostgreSQLユーザーが増えるというわけではない。まずは、既存のオンプレミスでPostgreSQLを利用しているユーザーの一部が、Amazon RDSに移行するところから始まるというのが当初の動きだろう。

 ある意味、MySQL、Oracle、SQL Server、PostgreSQLが、やっと同じクラウドの土俵に載ったのが現時点。ここから先にどのサービスの利用者が増えるかは、それぞれのデータベースの個性というか良さが、クラウド上でどう発揮できるかが見えてこなければならない。そのためには、ライセンス費用が安いからという以外に、PostgreSQLを是非とも使いたいという個性が見えてこなければならないだろう。PostgreSQLは、地図情報活用などでは評価が高い。クラウド上のCRMの仕組みなどと連携させて、位置情報を活用するマーケティングシステムなどの具体的な活用が見えてくると面白そうだ。そういった特長がもっと伝われば、利用者の拡大につながるはず。どちらにしても、ユーザーにとっては選択肢が増えることは今後も大歓迎だ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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