価値共創を解明する
本書において、このような上質の「価値の生成と提供」に必要とされる主要なテーマとして、価値共創を支える諸要素(第2章)、共創経験(第3章)、経験のイノベーション(第4章)、経験のパーソナル化(第5章)と、事例を踏まえながら詳細に説明されています(図2)。
さらに第6章において、企業と消費者(1対1の関係)、企業と消費者コミュニティ(1対多)、多数の企業と多数の消費者(多対多)という進展に伴って、価値の独自性と消費者との関係の親密性が増す「経験ネットワーク」の構図が説明されています(図3)。
究極的には、価値を提供する側とそれを受取る側といった分類が意味をなさない場合もあり得るでしょう。たとえば、オープンソース・ソフトウェア開発に参加する人や企業は、あるケースにおいては価値を提供し、他のケースにおいては価値を受け取ることがあるからです。これは、「バリューコンステレーション(価値星座)」と呼ばれ、特定の価値生成とその受け取りに対して、不特定多数の企業や個人が関与する緩やかな生態系ネットワークを指すものです。