2015年のIT業界キーワードの1つが「機械学習」だ。この機械学習にはIBMやNECなどの大手ITベンダーで、研究所などを持っているところが積極的に取り組んでいるイメージがある。そんな中、機械学習の領域でかなりリードしているベンダーの1つがMicrosoftだ。「Microsoftが機械学習と言うと、唐突な感じもするかもしれません。しかし機械学習の技術は、かなり昔から取り入れています」と言うのは、日本マイクロソフト 技術統括室 イノベーションセンター 本部長の田丸 健三郎氏だ。
Microsoftは機械学習に古くから取り組んでいた

田丸 健三郎氏
クラウド技術の発達もあり、デスクトップ中心の時代に比べれば膨大な量のデータも利用できるようになった。その膨大なデータを学習することで、新たな知見を得る。クラウドとビッグデータという最近のIT業界の変化が「機械学習で得られる知見をイメージしやすくしています」と田丸氏は言う。そんな機械学習だが、いまなぜこれだけ注目されるようになったのか。そこには単に大量データを扱えるようになっただけでなく、アルゴリズムの変化もある。それが「Deep Learning(深層学習)」の進化だ。
機械学習のアルゴリズムは、ここ2年くらいで進化した。これまではデータを学習する際には、特定的な傾向をモデル化し利用していた。つまりこれは、データの特徴があらかじめ分かっているようなものに適用されてきたことになる。これに対し、たとえばデータサイエンティストは、データに対し事前の処理を行い「特徴」を抽出し、それをもとに結果を導き出す。このデータを見て特徴を見つけ出すところは、かなり人のノウハウや能力に依存するところだ。
この人に依存していたところをある程度、機械学習に任せられるようになったというのが、Deep Learningの進化だ。Deep Learningは、人間の脳を模したニューラルネットワークの仕組みを活用する。かつてのニューラルネットワークとDeep Learningが異なるのは、簡単に言えばニューラルネットワーク部分を多層化することで、莫大なデータの中から特徴を抽出できるようになった。
これまでデータサイエンティストが行っていたような試行錯誤してデータから特徴を見いだす処理を、機械学習が代行できるようになった。Deep Learningで大量のデータを学習させることで、より確度の高い結果を得られるようになったのだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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