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オムニチャネル実現のための3つのバックヤード改革とは? 東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第7回) 

 小売・流通業界における次なる課題として注目される「オムニチャネル」。リアル店舗やECサイト、モバイルなど顧客との接点を多角化し、情報やバックヤードシステム等のシームレスな連携を行うことで顧客満足を実現し、売上アップを図るというものだ。東急ハンズの長谷川秀樹氏は「業態や業種の数だけオムニチャネルの形がある」と語る。果たして、東急ハンズが目指すオムニチャネルとはどのようなものか。長谷川氏にうかがった。(前回の記事はこちら)

「オレのオムニチャネル」は、顧客の心に寄り添うことが成功の鍵

――近年、小売・流通業の方々の関心事項として「オムニチャネル」というキーワードをよく耳にします。東急ハンズでも早々に取り組みを開始して、様々な施策が話題になっています。

 今あらためて「オムニチャネル」という言葉が目立ちますが、もともとは昔から小売・流通業の人間なら考えることですし、さほど新しい考え方ではないんですよね。ただ、端末やインフラの環境が整ってきたから、実際に手を動かして実現できるようになりつつある。そんなところだと思います。  

 それも定義はともかく、業態や企業、サービスの考え方などに応じていろんな形の「オレのオムニチャネル」が登場するのが自然でしょう。そしてそれがその企業の強みになっていく。  

 たとえば「セブン&アイ」ではグループのすべての商品をセブンイレブンで受け取れるようにしました。グループシナジーを高めて顧客満足を高めていこうという発想でしょう。一方、「カメラのキタムラ」の店舗では在庫数は少ないものの、カメラ好きのスタッフが濃厚な接客をしてくれる。顧客が納得した上でセンター倉庫から取り寄せで販売するスタイルなんですが、売上構成比で結構高いんです。通常小売店の取り寄せ率と比べると、これは、驚異的なくらいに。  

 では、東急ハンズとなると必需品ではないけれど、生活を楽しくする「クリエイティブライフ商品」を販売しています。欲しいけど、絶対必要ではない。買うか買わないか、買うならいつかが曖昧なものばかりです。でも「ほしい!」という感覚はある。そんな商品を取り扱う東急ハンズのオムニチャネルは、やっぱりライブ感がある店舗がありき。そして、顧客の心に寄り添うものである必要があると考えています。

――なるほど、顧客にどんなメリットを提供するか。それ次第でオムニチャネルのあり方のヒントになるというわけですね。  

 顧客の心の動きや購買行動から、「ひとめぼれパターン」「おとりおきパターン」「うけたまわりパターン」と名づけて、それぞれにフィットした対応を行えればと思っています。2014年より東急ハンズではオムニチャネル推進部を設け、この課題に積極的に取り組みはじめました。その活動の中で、「東急ハンズのオムニチャネル」の実現へ大きな一歩となったと自負しているのが、モバイルアプリの提供です。

▲東急ハンズアプリ 

 2014年12月に登場した「東急ハンズアプリ」は、商品検索、全国の店舗での在庫確認、ECサイトでの買い物ができるアプリにポイントカード機能が備わっています。ぜひここで体験して欲しいのは「ショールーミング」。お店に行って、ネットで別の安い店から購入するという購買行動は小売店業にとって得てしてネガティブな捉え方をしがちですが、お客様にとっては当然のこと。それを踏まえて、東急ハンズアプリではショールーミングを便利かつ楽しめるようにしたのです。

 まず「ひとめぼれパターン」は「ほしい!」という思いは強くあっても、お店に車で来ていない(から大物は今買えない)とか、後で約束がある(ので買い物袋持ってくのはちょっと・・)とか、買える状況にない時がありますよね。でも「ひとめぼれ」って忘れてしまうんですよ。でも店頭で商品をスキャンして「ほしいものリスト」に入れておけば、都合のいい時にいつでも購入できます。  

 「おとりおきパターン」は逆のパターンです。ネットで見かけた商品がいいなと思っても実際に見てから購入したいことも多いでしょう。そういう時に在庫のある店舗を検索したり、一部の商品は「店舗受け取りサービス」として「店舗で受取る」を選択して購入することも可能です。大型店舗に行かずとも、品数を絞って展開する「ハンズビー」で、取り扱っていない商品も購入できるというわけです。もちろん、その際に自宅受け取りで発送することも可能です。  

 そして、「うけたまわりパターン」では、今後の課題でもあるのですが、メーカーとの連携を強化して、スムーズな発注ができるようにしたいと思っています。たとえば、多色展開している商品の場合、店頭にすべての色が揃っているわけではありません。さらにカタログが常に最新であるとも限らない。そこで商品情報をスムーズに受け取り、そのまま店頭で発注ができるようにしたいと思っています。  

 まだまだ課題はありますが、魅力的な店舗を持つ、生活必需品ではないがクリエイティブライフを創出する魅力的な商品がメイン、といった東急ハンズの独自性を活かした「オムニチャネル」の実現を目指して、様々な施策に取り組んでいきたいと思っています。

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オムニチャネル実現のための3つのバックヤード改革

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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